木造アパートの不燃化、耐震化の促進制度はないのか?

ぺんぎん堂の飯島です。意見は私個人のものです。

すっかり秋になりましたが、時として暑さがぶり返してきますが、それほど過酷ではないと感じられます。しかし、日本の各地の災害被災現場は、それどころではなく、心からお見舞い申し上げます。

怖いような気がするほど大きな花を、道端に見つけました。よく立葵が咲いているところですから、立葵だろうと思うのですが、この花の大きさは、なかなかのものです。気象変化とは関係ないのでしょうが、それでも、亜熱帯化している状況証拠のように思ってしまいます。

昨今の自然災害の激甚化は、地球規模での気候の変動を要因の一つと考えざるを得ないようなレベルに達したと思わざるを得ません。もちろん、シロウト判断ですが。と同時に、これまでの災害対応、特に行政レベルでの取り組みや、我々自身の災害対応に対する意識を、もう一度見直すことが急務のように思います。その意味で、現場を見ることの大切さを教えてくれるのが、この一冊だと思いました。

地震予知大転換』

 2016年(平成28年)4月に発生した熊本地震と、2017年(平成29年)の東海地震対策を巡る国の動きは、今後の地震対策を考える上で重要なテーマになっています。本書は、この2つのテーマを中心に地震予知の大転換を俯瞰し、地震防災の課題を明らかにしようとしたものです。
 特に私が感じたのは、ジャーナリストとして災害現場を取材して見えてきた、現行の法律の規定とその運用が、被災者の現実と乖離している部分の指摘でした。

住宅被害、余震による被害の進行をどう評価

 平成28年熊本地震の場合では、罹災証明書にかかる諸課題が指摘されています。例えば、住宅被害は、全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊の4段階に分類され、全壊で最大300万円、大規模半壊では最大250万円の公的支援がある。それには、罹災証明書の発行が必要です。しかし、熊本地震の場合、活発な余震が続いたため、第一次調査で半壊と診断されても、その後の地震によって被害が悪化して、大規模半壊に変わる住宅があったりしたため、判定に不服をも嘘立てるケースが多かったことから、発行が遅れるということがあったといいます。
 現行制度は一度確定した判定を変更することを想定していない上に、罹災証明書を受けなければ仮設住宅への入居ができない仕組みになっている。しかし、まず住まいを確保することが生活再建への第一歩であることを考えると、罹災証明書がない場合でも、住宅に、現に住めない被害の状況があるのであれば、立ち合いによる確認書類等によって、暫定的な仮設住宅への入居を進めたり、証明書の発行について柔軟にするなどの課題が見えてきた、著者は指摘します。

災害救助法の見直しの視点

 災害救助法では、支援は、原則現物給付であるがこれを、抜本的に、現金給付にすることなどの見直しが必要という指摘も、大事だと思いました。災害救助法は、1946年に発生した南海地震の被害を受けて、1947年に成立した法律です。したがって、現在の日本の社会の現状とはかけ離れたところがあるのは当然でもあります。控えめに言っても、整合を取りにくいというところがあるのはやむを得ないでしょう。。
 国の基本方針や計画はありますが、例えば、住宅の耐震化について、2025年に耐震化率を99、5%とすることを目標にしているが、実現は難しい状況だとされています。特に、個人住宅ではなく、木造賃貸住宅などの耐震化を進めることが重要であり、そのための制度が必要という指摘は、目から鱗でした。
 これまで、木造住宅密集地域の地震の際の火災の危険性の指摘とその対策は、もっぱら個人の木造住宅の耐震化と不燃化の促進であったように自ら顧みて思うだけに、こうした共同住宅を対象とした不燃化、耐震化のための助成制度は必要と思われます。
 まずは、現状の確認をしてみようと思いました。
追記、いくつかの自治体では木造のアパートを対象にした補助事業がありました。特に、東京都23区の中など。全体の調査は進めようと思います。

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補助制度の追補記載をしました。
耐震化の目標年次、2020年から2025年に訂正しました。