第1の疑問、「凄すぎる手口」

 ひとつは、SankeiBizの「オリンパス株「空売り」で利益20億円超 ゴールドマンの凄すぎる手口」http://www.Sankeibiz.jp/business/print/111116/bse1111162040007-c.htmという記事に関連した疑問です。。世界最強の投資銀行と呼ばれるゴールドマン・サックスが、オリンパス空売りでぼろ儲けをしたという記事です。
 「ゴールドマン・サックス研究 世界経済崩壊の真相」(神谷秀樹 文芸春秋新書)

を読むと、それは、当然でしょうねという感想ですが、疑問というのは、「凄すぎる」とは何かという疑問です。。
 この記事が言わんとする「凄すぎる手口」とは、事態の深刻さを察して、空売りを仕掛け、投資の基本に忠実に買い戻して、約22億円の利益を上げたことだと思えます。それはそうですが、でも、ゴールドマン・サックスの本当の凄すぎるところは、別にあるのではないでしょうか。
 マイケル・ウッドフォード氏が突然社長を解任された取締役会は14日に行われました。しかし、記事によれば、ゴールドマン・サックス空売り約83万株は、13日に行われたというのです。この時点で、オリンパス株の大量空売りを仕掛けたのは、ゴールドマン・サックス以外にあったのでしょうか。高値での大量の空売りは、買い手がいなければ成立しません。情報の非対称が無ければ、うまくいかないのではないでしょうか。その直後に事態が表沙汰になって、一斉に売りが殺到した時にもっとも効果的です。13日、14日のタイミングは、まさに絶妙としか言いようがありません。
 ゴールドマン・サックスは、いったいいつ事態の深刻な情報をつかんだのでしょうか。「凄すぎる手口」とはこのことのように思えます。
 ゴールドマン・サックスは、一体どのようにして、情報を入手し、投資戦略を立てたのでしょうか。
 これが疑問の第一です。
 しかも、凄すぎる手口には、落ちが付いています。その後、オリンパスについては、内視鏡事業への評価と合わせ、M&Aの噂が絶えませんが、オリンパス株を空売りしたゴールドマン・サックスは関連会社3社で、11月22日の時点で、オリンパスの株式を6.67%取得していることがわかったのです。何というこれが、最強の投資銀行のしたたかさでしょうか。