たべものについている思い出という薬味

ぺんぎん堂の飯島です。意見は、私個人のものです。

夏至 第二十八候『乃東(なつくさ) 枯れる』

「乃東」というのはうつぼぐさのことですが、夏至のころに枯れるめずらしい草です。夏至は、晴れよりも雨や曇りのほうが多いという気象統計があるそうですが、今日も雨が降っています。旬のやさいは『蚕豆』、炊き込みご飯もあるようですが、まだ食していません。

 今日の珈琲は、「コロンビア」です。


さて今日は、オムライスかシウマイ弁当

 日曜日は「お弁当の日」と決めています。そして、私は(妻は違う弁当を選ぶこともありますが)、いつも、崎陽軒の季節のお弁当「初夏」にしているのですが、今日は、トマトケチャップの「オムライス」にしようか、それとも、同じ崎陽軒でも、正統派の「シウマイ弁当」にしようかと、こころは揺れ動いています。
 
 つい、こころの準備も整わないのに、あぶないと思いつつも、ぱらぱらとページをめくり、そして、ぐいぐいと読み進んだ結果、揺れ動く私になっていたのです。森下典子文・画『いとしいたべもの (文春文庫)』が、その危険なテキストです。



 製あん機などを製作している株式会社カジワラのホームページに「おいしさ さ・え・ら」に著者が月に一度書いているたべものをめぐるさまざまのいろいろについてのエッセイを単行本にして、さらに文庫化された(中味が増えてます)ものですが、イラストも作者が書いていて、これも、想いをそそるのです。
 うまいなあー、文章もイラストも。それに、本の仕立てがいいです(大久保明子さんの名前にはどこかでの見覚えがありました)。明朝のかなのタイトル、メロンパンのイラスト、パラパラとこぼれたカリフラワー状のもこもこのかけらも描かれていて、これは手に取ってしまいます。
 たねやの水羊羹を買うでしょ、舟和の芋ようかん(茅場町で暮らしていた妻はなぜかこれが好きで買ってきます)も、メロンパンとカレーパンをめぐる内心のせめぎあいとか、塩分控えめの身の上になっても、最近気になる江戸むらさきとか、いやあ、困るのです。とにかく、忘れていたたべものをきっと思い出しますよ。
 「炊きたてのごはんで海苔の佃煮を食べるたびに、私には、(ここだ、ここだ、、、、)と体の声が聞こえる。『ここ』とはどこかわからないが、『ここ』なのだ。」という著者のいう場所は、きっとあなたにもある。だって、私にもあるから。



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『おいしさ さ・え・ら』 http://www.kajiwara.co.jp/saela/index.html