大人、永遠の子どのことかも

ぺんぎん堂の飯島です。意見は私個人のものです。

処暑 第四十候『綿のはなしべ開く』

 いよいよ、秋、という感じです。朝の西空は、雲の様子もすっかり秋めいています。
 今日の珈琲は「ドミニカ」です。割合と、低めの水温が良かったようでした。


大人エレベーター



 サッポロ生ビール黒ラベルの『大人エレベーター』のテレビコマーシャルを見たことがある人が、きっといると思います。酒のシリーズものの広告には、名作といわれるものがいくつかありますが、この『大人エレベーター』は、成功しているとは思いますが、名作かどうか。それでも、私は狙いがみえているけど、好きですね。
 お酒は大人になってから、あ、二十歳になってからでしたか、それでも大人の飲み物というのが一般ですから、その意味、わかりやすいコンセプトなんですが、男にとっては、『大人』というテーマは、いつまでも心くすぐる問題なのです。
 私事ですが、お酒をやめる直前では、ビールは、キリンでもなくアサヒでもなく、サッポロでした。特に、大人の酒飲みから『サッポロ赤星』を教えてもらってからは。


若さは今や蜃気楼?

 さて、本書です。広告関係本の例にもれず、本書もコンセプチュアルな本です。出版プロデュースがTUGBOTということからもそれはうかがえます。
 まず、テレビコマーシャルがベースなのに、登場人物の写真は一枚も使われていません。文字ばかりです。登場する人々が、大人について語り、その他の(こちらの方がメインのようにも思える人もいますが、人生を語れば、年齢に応じて大人を語っていることになるわけですから、タイトルは正しい)事がらを語るのです。
 「やっぱり大人ってのは子ども時代に覚えている大人のイメージなんじゃないですか。」とかね。まあ、仲代達也さんなんかは、大人だとはじめから了知して読んじゃうんですが。
 「じゃあ大人の逆で、若さって何だと思います?」という妻夫木の問いに高田純次は「今の俺にとっては蜃気楼のようだね。」と、いかにもビールのようなほろ苦さがあって。そして、人生の終わりが見え始めたことについて岸部一徳は「だから、今度会えばいいかとか、機会があったらねとかってよく言ってたんだけど、今は今度なんてないんじゃないかなって時々考えるようになった。」と。
 こういうのが、結構、当たり前の話の中にちりばめられています。
 


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