班長の飯島です。
 財政力について、具体的な事例から考えていきましょう。参考になる新聞記事があります。23年3月3日から5日まで、3回にわたる「目黒ショック」という連載記事です。統一地方選挙を前に、4年前の統一地方選挙から今日までの(記事時点現在)財政状況の悪化を受けて「23区は財政運営の見直しを迫られており、統一地方選挙を前に、目黒区を中心に天気の区財政を報告する。」というのが記事の趣旨と書いてあります。
 まあ、記事には「その後、税収は落ち込み、高齢化や雇用悪化から福祉経費がかさむ中」とありますが、高齢化や雇用悪化が税収落ち込みの要因でもあって、単に経費増の要因だけではありません。両面の視点がないと、財政運営の見直しは景気動向という地方公共団体の外部要因に収れんされてしまうという、これまでのありがちな見直しになってしまう恐れがあります。
 閑話休題
 さて、この記事には、連載第1回は「立ち往生」、第2回は「アリとキリギリス」、そして第3回は「錬金術」という、これだけでおおよその内容が見えてくるようなサブタイトルがついています。
 第1回、立ち往生しているのは、もちろん目黒区で、その対比として基金残高が1千億円以上ある港区が登場し、その港区でさえ景気動向を常に考え危機感をもって財政運営をすべきと語らせ目黒区の甘さを際立たせている。
 第2回、キリギリスはもちろん目黒区だ。そして、アリは区政改革プランで非常事態に対処して財政状況を好転させた新宿区、健全財政が骨身にしみていないとされる目黒区を浮き彫りにする。
 第3回、緊急財政対策で36事業を見直した目黒区は、小学校や特別養護老人ホームなどの老朽化した公共施設の整備を2年延期せざるを得なかったに比べ、錬金術をにより財源をねん出した豊島区が登場する。しかし、錬金術という言葉から予感されるように記事からは好感をもっているようには感じられないのですが。
 ともあれ、この記事には目黒区、港区、新宿区、豊島区の4区が登場している。もちろん、残りの19区も含めてのランキングではあるが、「財政力」の指標を考える手がかりとして、次回から、これら4区の平成21年度決算状況を見ていくことにしよう。