班長の飯島です。
 朝日新聞の記事に登場した順に、早速、具体的な数字に当たってみたいと思います。
 連載第1回で取り上げられた港区と目黒区について、平成21年度決算状況一覧表を比較してみます。果して、記事ではあまり明確でなかった目黒区の立ち往生の状況がつかめるでしょうか。なお、特に断らない限り、単位は千円、比率は%です。

区分 港区 目黒区
基準財政需要額 49,180,889 55,226,466
基準財政収入額 64,714,078 42,826,769
標準財政規模 84,539,701 70,209,865
財政力指数 1.20 0.71
実質収支比率 11.4 5.5
公債費比率 1.5 11.8
経常収支比率 64.4 95.3
歳入総額 130,455,848 93,178,923
歳出総額 120,500,831 89,062,319
歳入歳出差引額 9,955,017 4,116,319
実質収支 9,662,900 3,869,412
積立金 376,246 32,420
積立金取り崩し額 0 1,083,686
実質単年度収支 456,301 157,980

 表として並べてみると、港区と目黒区の財政力の違いが圧倒的にみえます。特に目黒区の経常収支比率の悪化は、朝日新聞の記事のように、だれの目にも歴然ですが、この数字の意味することの深刻さはなかなかです。
 かつて、私が中野区で経験した経常収支比率の悪化は、100%を超えるものでした。
 目黒区の経常収支比率の悪化の要因が、税収の減少によるものだけなのか、財政運営も含めて、義務的経費の削減など歳出構造の変革ができなかったのか、詳細はここからは分かりません。
 しかし、港区は、歳入総額が対前年度比4.5%、歳出総額が7.8%の伸びであるのに比べ、目黒区は、歳入総額は対前年度比9.2%、歳出総額は6.9%の減でした。
 これだけですと、目黒区は財政の硬直化が進み、歳入額の減少に見合った歳出額の削減ができなかったことに要因の一つを認めることができるようです。
 しかし、これだけで立ち往生なのでしょうか。実はこのような順番で財政指標などを並べたのにはわけがあるのですが、それは次回に検討することにします。