東電の会計検査に検査院、動く

 班長の飯島です。
 今回は、東京電力について、ちょっと別角度からの報告になりました。なお、意見は私個人のものです。
 原子力損害賠償機構を通じて税金1兆円の資本注入が行われた後の東京電力について、会計検査院は、検査対象とする方針を固めたと伝えられました。そうなると7月以降に会計検査院による東京電力の会計検査が行われるということになります。検査対象とする決定は、会計検査院法第11条の規定によって検査官会議により決定されることになるのでしょう。
 私としては、これが実現されることを強く期待します。民間企業が検査の対象になることはいれいのことですが、巨額の税金投入を受け、国による実質的な経営支配が強まることから検査は不可欠と判断したようです。
 会計検査院法には、検査対象について次のように規定がされています。

  第二節 検査の範囲

第二十二条  会計検査院の検査を必要とするものは、左の通りである。
一  国の毎月の収入支出
二  国の所有する現金及び物品並びに国有財産の受払
三  国の債権の得喪又は国債その他の債務の増減
四  日本銀行が国のために取り扱う現金、貴金属及び有価証券の受払
五  国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計
六  法律により特に会計検査院の検査に付するものと定められた会計

第二十三条  会計検査院は、必要と認めるとき又は内閣の請求があるときは、次に掲げる会計経理の検査をすることができる。
一  国の所有又は保管する有価証券又は国の保管する現金及び物品
二  国以外のものが国のために取り扱う現金、物品又は有価証券の受払
三  国が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計
四  国が資本金の一部を出資しているものの会計
五  国が資本金を出資したものが更に出資しているものの会計
六  国が借入金の元金又は利子の支払を保証しているものの会計
七  国若しくは前条第五号に規定する法人(以下この号において「国等」という。)の工事その他の役務の請負人若しくは事務若しくは業務の受託者又は国等に対する物品の納入者のその契約に関する会計
○2  会計検査院が前項の規定により検査をするときは、これを関係者に通知するものとする。

 東京電力の場合、国が出資したものがさらに出資しているものに該当することは明らかでしょう。
 さて、これも日本国憲法第90条の規定、会計検査院法第29条の規定により、会計検査院は内閣に検査報告を行い、内閣はこれを国会に報告しなければなりません。
 この、会計検査院の決算検査報告の内容についてわかりやすく簡潔にまとめた本があります。それは、
 会計検査のあらまし 平成23年―会計検査院年報です。


 こういう報告書になるかどうかはわかりませんが、平成23年の「会計検査のあらまし平成23年年報」には興味深い検査結果が記述されています。
 それは経済産業省の部分の「エネルギー対策特別会計の周辺地域整備資金の状況について」です。この特別会計が、原発立地地域への交付金に対応するためにあらかじめ積み立てることとされているものであることはよく知られるところになりました。
 平成17年度から22年度までに交付された立地交付金5740億円、22年度末の整備資金の資金残高1231億円を対象としてかんさしたものの報告です。東日本大震災の影響などにより整備資金に係る需要額の見直しにより、余分な資金を滞留させないような取り組みが必要としています。当面、657億円は需要が見込まれない縮減可能な余裕資金である、というのが会計検査院の意見とされています。
 このほかにも、「耐震強化岸壁等の管理について」処置要求がされていたり、なんだなんだと思われる事項がここかしこにあって、一度じっくり読み込むことをお勧めしたいです。