夏だ!海の話題3点 その1


 班長の飯島です。意見は私個人のものです。
 今や夏真っ盛りということでしょう。夏と言えば海か山ですが、今回は海の話題についてお伝えしたいと思います。
 一つは、地球温暖化に関連して、グリーンランドンの氷床表面が、30年以上にわたる衛星の観測で、確認されたことのない規模で融解したというNASAの発表です。7月中旬のある時点で氷床表面の97%が解けたとみられるということです。この大規模融解はグリーンランド上空を暖かい空気を含む強い高気圧が覆ったのと同時に起きたということですから、だれでも地球温暖化と何らかの関係があるのではないかと考えるのは当然といえます。もっとも、その後の報道では、グリーンランドの氷はそれほど脆弱ではないというものもあって、果してどのように受け止めればいいのか、考え込んでしまいます。私たちが冷静に受け止めなければならない将来課題にひとつです。そこで、地球温暖化はどれくらい「怖い」か? 〜温暖化リスクの全体像を探るです。


 ここでは、地球温暖化について、どれくらい「怖い」ことなのか、リスクの全体像を、良い影響、悪い影響もまんべんなく情報提供することを心がけ、身近なリスク、世界のリスクについて考えることを提唱しています。温暖化の進行による海面上昇に関連して、南極とグリーンランド氷床の不安定化についても触れています。気候が長期間安定的であれば、上から雪として降り積もる「入り」と氷山の崩壊や氷雪の融解となって「出ていく」氷の質量は釣り合っていますが、温暖化が進めばこのバランスが崩れ、不安定化する恐れがあるとしていますが、その臨界点より下がれば不安定化は止まるとしています。

低確率×大被害のリスク保有は「発現しない方への賭け」
このほか、本書は気候への影響、陸上の生物への影響、海の生物への影響、水への影響、農業への影響、沿岸域への影響、健康への影響、その他の影響、そして影響の全体像について述べていますが、東日本大震災の経験から学ぶことでは、「想定外」の意味から、リスクの保有、そして福島第1原発でのリスク保有が、「発現しない方に賭ける」行為と同じリスク保有であったこと、その判断をだれがするのか、「賭け」に負けたとき、判断した人は責任を取れるのかという問題が引き起こされるとし、「賭けに負けたときに社会が納得できる可能性がある判断とは、社会全体が何らかの形で意思決定に参加した上で(選挙で選ばれた政治家が判断する場合を含みえるでしょう)、高い透明性をもって行われた判断に限るのではないでしょうか。」としていることが残ります。
 リスクコミュニケーションの双方向のあり方やを含め、リスク低減とリスク保有についての記述が示唆的です。リスクをゼロにすることが不可能なとき、リスク管理オプションの一つとしてのリスク保有として、ある程度のリスクは受け入れなければならないことになります。しかし、保有することは対策を立てないこととは別とも思えますし、さらに、違う視点からのリスク管理へのアプローチにも思いを致させます。

 次回は、日本の排他的経済水域内でのレアアース泥の発見、メタンハイドレートの発見と大陸棚拡大認定の問題をとりあげます。