海ですが、北海道です

 班長の飯島です。
 意見は私個人のものです。

 海洋法と海洋資源の問題について取り上げようと考えていましたが、にわかに四海の波が高くなり、エモーショナルな議論も多くなっているので、一呼吸置くことにしました。冷静な議論と具体的対応の検討が、国をあげて必要だと思います。

鉄道本ではない北海道の『駅』と『人』の本
 夏ということでは、「北海道」も定番の一つだと思います。私の青春時代には「カニ族」というのが北海道を徘徊?していたという記憶があります。「北の大地」という言葉に感じる人々のロマンをうまく使った仕掛けはビジネスだけでなく、政治にもあるようです。私には高倉健さんの「番外地シリーズ」、「居酒屋兆児」の北海道ですが。「北」と「南」には、ともにロマンがあると思うのですが、そのロマンは異質のものに感じられます。どちらにも長い文化の堆積がありながら、「南」によりなじみがあるのが、日本の歴史感覚ではないでしょうか。私の大学時代の先輩は、北海道と九州の出身に人が圧倒的で、それに長野県出身者で構成されていました。そして、九州が優勢だったということもあるのでしょうか。
 それはともあれ、、渡辺一史氏の北の無人駅からです。


 鉄道マニア、「鉄チャン」の本ではありません。題名に聞き覚えがある通り(テレビであっても耳の感性が優勢な文言ってありますね。『北の国から』は、文字より言葉に思えます。一方、『駅』は文字でしょう。)、800ページになろうかという本ですが、登場する無人駅は6駅です。主人公は「北海道の人」であり、北の大地で暮らす人々の、したたかな生活と意見ということだろうか。北海道にとどまらない、リアル日本の姿が見えてくる気がします。
 私は、ふと、道州制が導入された日本の中で、北海道と九州の姿を考えていました。石炭があり、鉄があり等似ているものも持ちながら、しかし、これほど違う風土と気質、九州にはそれを構成する文化圏、たとえば薩摩や肥後、肥前など、が明確であるのに、北海道はそれぞれに拠点都市をもちながら、漠とした中で北海道という地理的まとまりであるという、広域政府が日本の中に生まれるということ。この二つに四国を加えて考えると、地方行政、自治の仕組みなどという次元ではなく、道州制下の日本という、国家の感性のありようについても考えておいた方がいいような気がしたのです。
 不思議な雰囲気の本です。