空間の意匠、ちょっと大袈裟ですかね

 人鳥堂の飯島です。ペンギン堂って素直に言ったらという意見もありますが、まあ。
 意見は私個人のものです。

モダンに飽いたら、フォルクな景色を

 去年、新宿駅西口発の王子駅行きのとバスに乗って、なんども足立区に行きましたが、神谷町1丁目の停留所付近で、いつも気になる看板を見つけて、思わず写真に撮りました。
 みようによっては蛸文様とも見紛う壁面の模様の上に、時の経過を感じさせる看板がかかっていました。つい、こういうものに関心を持ってしまうのは、なぜかわからないのですが、まあ、どこかに行く時の発見の楽しみです。と思っていましたが、藤本健太郎氏の『タイポさんぽ: 路上の文字観察』を見つけました。描き文字と凸版屋さんで見出しをつくっていた時代から写植屋さんでうちだしてもらう時を経て、Macでデータ出力の時代になって、それであまりドキドキしなくなったデザイナーが、近所の散歩や旅先で出会ったこれでもかというアナーキーでフォルクなタイポグラフィを採集した本ですが、空間の意匠の要素のひとつでしょうね。


 本書の中の、インパクトある採集物のなかでも、私がチャンスがあれば確認したいと思っているのが、恵比寿駅前の「草加せんべいちか八」、岡山市立オリエント博物館の喫茶店「イブリク」、神戸三宮の雑居ビル壁面の「そわれ」(誘われての語感を文字から感じるという)などがあります。

 この本には、それと気がつきやすい仕掛け(気がつきにくいものでないとこがすごい)のある、タイポコレクターの路上観察収集本ではあるのだが、タイポグラフィの本だからということで、誠文堂新光社タイポグラフィ関係本も裏見返しに紹介されていますが、「もじのみほん」、「タイポグラフィの基礎」と堅実すぎる感じの、この本とはちょっとそぐわないようなタイトルの本に続いて、最後に杉浦康平氏編の「文字の美、文字の力」という本がきて、納得の装幀です。もちろん、著者のあそびは、表紙の「タイポさんぽ」のタイポグラフィーに「多様と秩序」の技を感じてみることからはじまる気がします。


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是非、あなたの近くの物件を探して見に行きましょうよ。


 ブックサイズが持ち歩き用だと思います。