自営業という起業で地域をケア
人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。
「雇用」ともう一つの道
成長戦略の帰結は、雇用の創出や給与所得の増加だと思います。しかし、収入を得る手立ては、雇用されることだけでしょうか。こうした疑問に答えてくれそうなのが、「新書で読む今」で取り上げている新雅史氏『商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)』です。ここには、戦後社会の安定を支えた要因の一つが自営業の安定であったという視点が示されていますが、ここでは、別の視点から、紹介したい本があります。
それが、碓井美樹編・著『スイーツショップ&コーヒーショップのデザイン --シンプルなこだわりがいきるサンフランシスコの店づくり-』です。
サンフランシスコのスイーツショップ&コーヒーショップについて、著者のお気に入りのお店のメニュー、店舗の設計、インテリア、ロゴマークにとどまらない、むしろなんでそうしたデザインにしたのかという、店のあり方の根底にある「志ざし」を「デザイン」として紹介しています。
本書の文章と写真からは、アメリカンドリームに通じる志向を感じさせる、それでいて軽やかな、スイーツショップ&コーヒーショップというジャンルで好きなこと、ひらめいたことを自分スタイルに「デザイン」して、形にしていることが、確かに感じられます。著者は、なぜサンフランシスコなのかについて、ひとつはカリフォルニアの食物の豊かさ、二つはフードビジネス起業家を応援する行政の仕組み、そして三つ目に、シリコンバレーが近いということによる自分がやりたいことを試せる街の空気をあげています。日本だって、そんな街はあるはずです。
攻めの農業とか、観光とか大きな条件は動き出しそうですし、地域を考える機運は、高まってきているのではないでしょうか。スマートに。
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新書で今を読む</span>
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自営業の安定は過去のものか
新雅史著「商店街はなぜ滅びるのか」(光文社新書)
戦後日本の政治的・経済的安定を支えたものは、「雇用の安定と自営業の安定、この両翼の安定」であった、中流社会の構成はサラリーマンの増加だけではなく、都市自営業者の増加と安定によるものであり、この安定が崩れたとき、一億総中流は消え、格差社会が前面に出てきたという分析を、今日、逆に活用としようとするならば、就職、被雇用しか社会にでていく手立てを考えつかない社会が、「自営業」という起業を手立ての可能性として考えてみることも必要ではないでしょうか。地域のケアの手立ての可能性としても。
それと、第4章の「財政投融資と『地域』の崩壊の分析は、決して過去のものではなく、今につながる底流が懸念されるかもしれないです。
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