やっぱり京都行きたいですね

 人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。
 さて、毎年訪れている場所に、あと何回くらい行くことができるだろうか、と現実感を持って自分自身にたずねてみる年齢になりました。そこで、私の場合は、今年も京都へ行けるかなあ、という思いです。

千年の古都でも現代都市、そして未来都市

 「京都」というところは、私には誠に不思議なところに思えます。中学時代の修学旅行で訪れて以来、結婚するまでは行こうという気にもならなかったのに、30代後半からは、毎年一度はお邪魔しています。しかも、歴史が息づいているなどという生易しい言葉では上滑りするだけのような生命力にあふれています。
 考えてみれば、よっぽどの中山間地でもない限り、かつてのにぎわいはなくても、廃墟と化した都市(軍艦島などの例外はあるにしても)などないと思われる日本ではありますが、それにしても、京都の強さは格別に思われます。その点、「奈良」は静かな感じです。この京都の魅力を伝える本は数多あるように思いますが、寿岳章子著、沢田重隆画の『京都 まちなかの暮らし (角川ソフィア文庫)』は良いです。沢田画伯の絵がまた良いです。

 単なるノスタルジーや観光案内ではなく、京都で生きる呼吸が感じられるのですが、同時に、したたかな都市の鼓動を伝えてきます。これが、京都の魅力でもあって、だから年に一度は行くことになるのです。「きょうとというところはまことに複雑な土地で、初代にして老舗同様のあらゆる意味での生産力を持つ人を未だにはぐくみつづけている。いや、今日の町はたいしたもんです。けろっとしてすごい歴史をふまえている。あるいは、重荷かもしれないその過去は、やはり現在有効に働き続けていると私たちは判断した。歴史とか伝統とかいわれるものが、確かな生産力を持っているのだ。」という著者の言葉にうなずかされます。書かれてからずいぶん時間が経っているのに、そっくりそのままの情景が今日も繰り返されているように思えてしまうのです。
 今に至る生産力を確かめるには、『お茶人のための 京のいっぴん』が参考になります。

 お茶人じゃないけどという人ほどこの本は、今に生きる伝統が、「ホウホウ」といううなずきで感じられる本です。「茶室、露地に関わるいっぴん」の井川建具道具店や京屋すだれ店、静好堂中島などは、一度は訪ねたいお店です。

 さらに、こんな路地の奥にこんなお店があったのか、という迷路探索に興味のある人は、『京都の路地裏図鑑―上ル下ル東入西入、路地入ル。』も面白いと思います。路地裏研究所の編集ということです。知っている路地もありますが、知らないところの方が多いです。

 歴史的な都市であるとともに現代都市であり、未来都市でもある京都の魅力に、今回は、変化球で迫ってみました。
 

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