道具についてちょっと考えてみました

人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。


「道具」の究極の「用」とは
 メイド・イン・ジャパンの質と技を世界が評価するという、まさに職人の世界を伝える番組を見ましたが、取り上げられていたのは、工具や刃物などの「道具」でしたね。個人的なことですが、私は「道具」が大好きです。愚考するに、「用」を形にしたものが「道具」ではないかと思うのですが、その際の、つくる側の、技の巧さ、工夫、そして使う側の技量、「腕前」など、道具をめぐる魅力はいろいろですが、その究極の「用」は、「命を救う」ということになるでしょうか。道具本来の使い方としてにせよ、その思いがけない使い方にせよ、サバイバルに貢献した「道具」は、その本懐と言えるのではないでしょうか。
 さて、高橋大輔著『命を救った道具たち』には、文字通りの「道具たち」が登場しています。

 著者は、「物語を旅する」をテーマにして、神話や伝説などが伝わる地に、虚と実の接点を求めて、世界を旅している探検家です。「探検のための道具は、命を救うものであるばかりか、心を支えるものである」とする著者にとっては、「道具はモノであって、モノではない。それは夢へと突き進むことを可能にする精神的存在でもある」。
 かくして、サハラ砂漠で野犬の群れから身を守った「ミニマグライト2AA」からはじまる45点の「道具」が登場する「道具を主人公」とする探検記が生まれたというわけです。
 こういう本は、ただ読んで終わりになるわけがないのでした、取り上げられている「道具」の活用や自分の生活への転用のヒントをさがすものです。わたし的には「ライカM9」デジタルカメラに心惹かれるのですが、いかんせん、手は届きませんね。バッグとしては、ガスマスクバッグという、インディージョーンズの探検バッグのオリジナルになったバッグも紹介されていますが、これはちょっとネ、ということで、ガ然気になったのが、地球儀でした。
 それは、キャプテン・クックが第1回の航海に出た1768年の時代の世界を伝える、大英博物館売店で手に入れたという1745年の地球儀「VAUGONDY GLOBE1745」です。その時代、クックにとっても、世界はこの地球儀のように認識されていたということでしょう。なにか考えるときに、世界地図を見ながら考えるという友達がいましたが、地球儀のほうがより発想に資するように思えるのです。そこで、地球儀とその「関係性」をいただくとして、時代を現代にしてみます。

 さて、地球儀となると、佐藤オオキ著『ネンドノカンド -脱力デザイン論-』を取り上げておきたいとおもいます。

 これは、渡辺教具製作所の製品で、かつて、ここの「夜の地球儀」を、インフルエンザについて考える縁として、取り上げたことがありますが、佐藤の場合は「コロナ地球儀」というものです。この地球儀は、白黒の地球儀で、ひたすら、渡辺教具製作所のデータの精確性を強調するというコンセプトでデザインされたものです。詳細は『ネンドノカンド -脱力デザイン論-』の、「似顔絵マスターのデフォルメ云々」のところを読んでいただくとして、海岸線や島影の正確なラインをみながらの想像は、疲れた時の思わぬ発想につながりそうです。
 どちらの本も、暑い時の読書としては、良いと思います。

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地球儀

渡辺教具製作所 コロナ ミニ 3601(スチール台)


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