「知楽」のすすめ

人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。


知はチカラか?そうじゃなくても楽しいことはある

 本当の意味を知らなくて使っているコトバは結構ありますね(ここで、コトバとカタカナにしているところにちょっと嫌味な自分を感じてしまうのですが)。調べてみたら意外な発見の連続だったというのが、金澤伸幸著『バラ肉のバラって何? 誰かに教えたくてたまらなくなる”あの言葉”の本当の意味 (講談社文庫)』です。


 
 「バラ肉」のバラは、まあ、アバラのあたりの肉ということで、アバラじゃないのかと思っていたら正解でしたが、じゃあ、「はめをはずす」のはめは、というと、「羽目じゃない、だから、羽目板のハメを外すみたいなことかな」と考えたあなた、ブーです。馬の口にくわえさせる「はみ」が転じて「はめ」になったのだそうで、だから、ハメを外すと、コントロールできなくなって馬が暴れだす、ということのようです。このほか、シーザーサラダのシーザーとか、ペーペーの新人のぺーぺーとか、お茶目の茶目とか、銀ブラは銀座をブラブラすることではなかったとすれば何とか、まあ、役に立たなくても、知っていれば気持ちにゆとりが生まれますね。もっとも、「松ぼっくり」の「ぼっくり」なんていうのは、あまり知らないほうがいいのかも。


日本人として知っておきたいしきたり

 さて、日本人として(大袈裟ですが)知っておいたほうがいいというより、これはもう知っておくべきこととして、季節や、祝儀、不祝儀のしきたりがありますね。そんなの関係ないじゃんと言っている人も、やがて、この程度は知っておかないとと現実につまずくことになります。それでも、やり過ごしてしまうことが出来ることもありますが、深い後悔が残る取り返しのつかないこともあるわけで、まずは、鳩居堂監修『鳩居堂の日本のしきたり 豆知識』に目を通しておくことをおすすめします。

 大人として押さえておく、子どもでも知っていたほうがいい、季節の歳事、祝い寿ぎ、親しむ、遊ぶ、弔いごと、人生の節目、贈答の心、手紙、たより、の7章からなっていますが、個人的には、「親しむ、遊ぶの」章の「香を聞く」に関心をもちました。「きく」という言葉の由来には諸説あるようですが、香りを聴覚的にとらえるということは、「日本人の奥深くに眠る何かが呼び起こされるような気がします。」と、本書にありましたが、プルーストを持ち出すまでもなく、眠っていた記憶を呼び覚ますように、嗅覚は根源的な何者かにつながるものなのでしょう。しかも、仏事に強く結びついているように思われている「香」ですが、お正月やお祝いごとなどにも、それにふさわしい香りがあり、楽しまれてきたといいます。煉香には「六種の薫物」という代表的な名香があるようで、『源氏物語』にも登場しているとのことです。まあ、「香を聞く」楽しみを、味わうチャンスがあればいいなと思いつつ、銀座に行ったら、京都に行けたら、鳩居堂をのぞいてみようと思います。

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