真夏の読書は

人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。

「政治家の夏」は外交、充電の夏

 かつて地方政治に直接関わり、現在も、政治の周辺にいて、日々見聞することも多いのですが、ジャーナリストが捉え、論評する出来事に、一過性では済まされるべきではない、ことの本質が示される、という意味で、橋本五郎著『範は歴史にあり』は、古くならない本だと思います。

 たとえば、英首相ウィンストン・チャーチルをして、感嘆せしめた、ワシントンから毎週送られてくる、多くの情報を整理、分析し、その上、魅力的な文章で綴られた若き大使館員の報告書とそれにまつわるエピソードに触れて、歴史的な指導者をうならせるような報告書を毎週書き続ける外交官がいた英国のに驚くとともに、日本外交の衰弱を危惧した『日本外交の再生ーチャーチルバーリン』に示された日本外交の状況は、今もまだ変わっていないのではないかと思えてしまうのです。
 「しかし、アジアの隣国との関係がこのままでいいはずがない。問題は、『負』の部分をどれだけ見通し、事前にいかなる手を打って臨んだかが今問われているのだ。」、「今こそ戦略的な外交が展開できるような態勢づくりを急がなければならない。」という指摘は、書かれた小泉政権に当てはまるだけではないという思いは、私一人ではないと思います。
 夏は、外交の季節でもあります。臨時国会が終われば、政治家それぞれ、あるいは政党として、世界の人々との、友好・交流のチャンスでしょうし、また、この時期を有効に使えないようであれば、ある意味センスのない政治家ということになるでしょう。
 子どもの頃、となりの家作に、「ゴローさん」という、一時期駄菓子屋を営んでいた、ちょっと不思議な親戚が住んでいたことを、フト思い出させるような「人違い」のエピソードや、「人間としての古典」もあり得るとする、『李登輝氏に見る政治家の品格』など、さまざまに思いがはしる、秋に向けて、読みたい本です。


人はなぜ巨大な生物や「深海」に惹かれるのか

 窪寺恒巳著『深海の怪物 ダイオウイカを追え! (ポプラサイエンスランド)』は、夏に読みたい一冊です。決して子ども向けにとどまらない、子どもに聞かれてもこれだけは知っておいたほうがいいという、基本ですね。

 先日も、NHKで、『深海』の特集番組をやっていましたし、展覧会もやっています。ドキュメンタリーとしての読み物がという方には、NHKスペシャル海プロジェクト取材班『ドキュメント 深海の超巨大イカを追え! (光文社新書)』もあります。

 人はなんで巨大な生物に惹かれるのでしょうか。また、なぜ、「深海」の謎に惹かれるのでしょうか。ダイオウイカは今も進化の過程にいるのではないかという仮説が示されていましたが、一方で、今回の撮影成功は、僥倖でもあったのかもしれません。それは、ある条件が整ったとき、例えば水温と潮位などで、プランクトンの発生が爆発的に見られるなどですが、今後の研究によるところが多いのでしょう。私にとっても、ジャック・クストー以来の深海へのいざないでした。

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