成長資源の「温泉」について考える

人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。



 夏だって、「温泉」というのは、旅行地の選択としてありです。
「源泉かけ流し原理主義」ってなにか?

 あまり気にしたことはなかったんですが、温泉で、湯口からちょろちょろと、場合によっては結構な湯量で、浴槽にお湯が流れ込んで、湯舟のふちからお湯が流れている場面は見てきました。これ、まあ、全てではないんですが、源泉が流れているものもあり、そうでないものもあるようですが、「源泉かけ流し原理主義」というのは、読んで字の如く、源泉がかけ流しでなければ温泉ではない、という主義のことだそうです。飯塚玲児著『温泉失格 ~『旅行読売』元編集長が明かす 源泉かけ流しとこの国の温泉文化の真偽~ (徳間ポケット)』には、普段はあまり気にしない(いや、こだわる方は結構多いのだと思います、日本人は)温泉の意外な事実を教えてくれます。


観光立国への整備の課題
 個人的には、温泉そのものは、清潔で、衛生的、安全であればいいという程度の認識しかないのですが、日本のこれからを考えると、ふーん、では済まないと思います(まあ、大げさですが)。この秋の臨時国会は、安倍首相によれば、「成長戦略」を深堀する国会にする、とのことです。私も、「成長が全てを癒す」かどうかは別にして、今後の日本経済と、経済政策について、真剣な議論が行われることは、当然の、国会の責務だと思います。
 そこで、成長戦略ということになれば、柱の一つは『観光』だ、というのは、永田町コンセンサスを超えて、広く認められているのではないでしょうか。私の賛成です。日本の、付加価値生産性の高い分野は、モノづくりだけではありません。「自然・文化(歴史)」、「おもてなし」、「人情」の三点セットが、日本観光の魅力であることを否定する人はあまりいないのでは。これに、安全と買い物が加わって、「観光立国日本」の基本インフラと考えるべきでしょう。
 ここまでは良いとして、足元の現状はどうなっているのでしょうか。本書のタイトルからもうかがえるように、問題が多いということでしょう。温泉について言えば、加水、加温、循環、添加の問題が指摘されます。「温泉法施行規則」が改正されて、こうしたことについての明示が定められましたが、しかし、量の基準を示さなかったという問題があります。
 また、『公衆浴場法』と『旅館業法』は厚生労働省健康局生活衛生課が、先に触れた『温泉法』は環境省自然環境局が所管するところですし、『鉱泉分析指針』は泉質や液性分類を定めているという、お定まりの縦割りというか、バラバラの行政になっているようにも見えて、それでいいのか、という気になってしまいます。
 『温泉法』は、1948年にできて、2007年に改正されていますが、25度以上、19種が定めれています。これは、1911年の「ナウハイムの(温泉)決議」で、20度、15種が決められたことに準拠しているのだそうですが、「観光立国」が成長戦略の柱と位置づけられるのであれば、足元の整備は不可欠でしょう。個人的には、巻末のお薦め温泉のリストで、旅行の楽しみを検討することで、貢献しますが。


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