コミュニティーも”雲”の中です

人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。


”仮想”が現実ですか
 日本は、などと大上段な議論をする気はありませんが、やっぱり、日本の社会は、タガが外れたような気がする有様に見えます。
 アルバイトのいたずらで、SNSが炎上して、店舗が閉鎖されたり、経営者の謝罪などが続いています。一方では、ネット中毒のリスクが警告され、さらには、事件報道で無料通話アプリがにわかに注目されたり、その無料通話アプリを使った子供同士のトラブルや仲間はずれにするいじめが急増しているといいます。
 携帯やスマホが、あっという間に生活用品になり、その中のアプリが現実になっているのでしょう。ネットのコミュニティーがあたりまえの前提になっている社会に生まれ成長した年代の人々にとっては、ネットのコミュニティーは現実の社会そのものでもあるのでしょうか。PC9801の時代からパソコン触ってきて、通信はニフティーサーブからという年代の私には、そもそも、ネットは仮想社会であったのですが、今や、現実は、ネットとリアルの両方なんでしょう。
 そんな私が、そもそもタイトルに惹かれて、村上福之著『ソーシャルもうええねん (Nanaブックス)』を読みましたが、意外や元気になる本でした。。

 ネット業界のいい加減さを教えてくれる本が、元気にさせるというのも不思議な気もしますが、「やっぱりそんなものか」、と安心させる効果もあると思います。
 富士そばで立ち食いそばを食べて、「富士そばなう」とつぶやいても、1万2千人のフォロアーがいても、特に何の返事も帰ってこない著者は、「何の意味があるのでしょう?僕は、今後、人生で何度、一人で富士そばを食べるのでしょうか?そして、何度、意味のない電気信号を太平洋を往復させるのでしょうか?ソーシャル、もうええねん」というひとりごと(?)は、侘しそうですが、でも、「そんなものじゃないの?」、と、あまり暗くなりません(ちなみに私は、富士そばで食べるなら、わかめそばかほうれん草そばです)。本書によれば、ツイッターのフォロワーは、2010年頃からネット上で売買されていて、5,000人でドル、「いいね!」は5,000で199ドル、ユーチューブは5,000回で28.55ドルだとか、ツイッターに飽きた人が増えているとか、ネット業界も、そういう世界だということがわかって、業界の実態を知った上で、かえって元気が出ちゃうのは、著者の楽観的な性格なんでしょうか。得な人だと思いながら、読んだら、なんか、明日も元気でそれなりに頑張ろうか、という気になる本です。本当は、そう簡単じゃないだろうと思いながらも。
 さて、ここを押さえて、これが現実なら、二つの現実社会をどう見るか、どう生きるか、もうすっかり終わった感じの「ネット選挙」の問題を含めて、日本の問題はこれから、だという思いは忘れないようにしないと。



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