仕事の意味を考えるとき

意見は私個人のものです。

 人鳥堂の飯島です。ようやく秋の気配も濃厚になってきました。しかし、季節の変わり目はかえって健康に留意する必要があるでしょう。

今日の珈琲
 ジュピターの「モカマタリ」の衝撃(もちろん、香り味とも美味しいという意味です)で、最近は「モカ」ですが、コウキ君から「モカミックス」(田代珈琲株式会社)http://www.tashirocoffee.com/をいただいたので、しばらくは「モカミックス」です。
 
昨日、りんごをひとつ買いました。先日、主治医に、「秋になると果物が美味しくなるので、注意が必要」といわれました。甘味がまして、ということは糖度が高くなるということですから、気をつけなければいけないということでしょう。一方では、ビタミンやポリフェノールなど健康のためには良い成分もあるわけで、りんごなら半分、というのが目安ということでした。そこで、田中修著『フルーツひとつばなし』を読んでみました。

 この本のいいところは、難しくないということでしょう。みかん、いちご、りんごからはじまって、オリーブまで「ひとつばなし」が書かれています。著者は、植物関係の著作で知られています。
 「昔の人々は、果物たちが人間の健康を守ってくれるふしぎな力をもっていることに、気づいていたのかもしれません。」しかし、果物は、人間に都合のいいために実っているわけではないので、植物は、自分たちが健康に生き、その命を次代につなぐために、果物の巧妙な仕組みとパワーを持っているのですが、それを、私たちが活用させてもらっているわけでしょう、美味しさを享受しながら。さて、「桜桃忌」は太宰治ですが、それでは「柘榴忌」は?実は江戸川乱歩です。本書は、こんな話題にも触れています。柘榴ジュースを飲みながら、乱歩の東京を歩いてみるのもいかもしれません。ざくろは日本には、平安時代以前に渡来したというのですから、歴史がありますね。


スマホ」、「健康」、「キャリア」の三大中毒症?

 ドコモが、「アイフォン」を扱うということで、この秋は、「アップル」で盛り上がるのでしょう。私も、「アイフォン」を使っています。日本の三大キャリアが全部アイフォンを扱うということになったのですから、日本の通信情報基盤に終わらない大きな変化があるのではないかと思われますが、それについては別途考えてみたいと思います。それよりも、深刻と思われることは、若者を中心としたネット依存の蔓延ではないでしょうか。もちろん、若者に限らず、電車に乗れば、多くの乗客がスマホの画面に見入っています。時として、全ての座っている人がそうであるなど、異様な光景に出くわすこともあります。「スマホ中毒は21世紀のアヘン」というのは、志村史夫著『スマホ中毒』のサブタイトルです。
 

 著者は、その研究成果がいくつかの特許となってエレクトロニクス機器製造貢献している経歴の方で、ご本人も「そのような私が、いま、「21世紀のアヘン」に警鐘を鳴らしているとは因果なことではあります。」と語っていますが、ことは因果を嘆くことで済むほど簡単ではないのです。また、著者はかつての著作の中で「エレクトロザウルス」という言葉を造っていますが、将来、人間が作り上げたエレクトロニクスに人間が支配されるようになってしまうのではないかという懸念があったのでしょう。その懸念は当たったというべきでしょうか。それでは、どんな害悪があるというのでしょうか。
 マイクロチップの製造に重要な「水」の問題は象徴的でしょう。限りなく純粋な水「超純水」は、一定量飲み続けると生物は(もちろん人間を含め)死んでしまうのだそうです。それは、腸内の有用な微生物が死んだり、体外に排出されてしまうからだそうです。文明社会での食中毒は、著者によれば、「衛生管理が徹底した私たち「文明人」の生活に原因が」あって、「文明病」の一種とされますが、スマホ中毒も同じ構造にあるのではないかということでしょう。
 いまひとつは、「時間」と「空間」が捻じ曲げられることだといます。しかも、本来曲がっていたものが真っ直ぐになるのも捻じ曲がることで、技術と文明による「自然の捻じ曲げ」は、効率と経済性を考えれば、そうなるというものです。まっすぐなキュウリが流通に便利であることから選択されたことは言うまでもありません。
 さらに、ロボットについてのアンケートでは、一般市民の圧倒的多数が欲しがっているのは、「話し相手になってくれるロボット」だという結果が示されていますが、幼児にペットロボットを与えることの危険性のひとつは、生命あるものに対する鈍感さと著者は指摘していますが、その先の社会の光景には身震いする恐ろしさがあるのではないでしょうか。
 これらから身を守る方法は、「歩く速さで生きていくこと」にあると言いますが、さて、その内容は本書で確かめてください。


健康追求も中毒になる?

 BSやCS放送を見ていると、広告のほとんどは、健康かダイエットのサプリメントです。なんでこんなにダイエットに執心するのかといえば、食べ過ぎているから、運動不足だからということに尽きるのではないでしょうか。
 「でも、そうなんだもんね」というのが、去年までの私でしたから、他人のことは言えませんが。食事についての制限を受けてからは、12キロも体重が減ったので、サプリメントはどうかね、と思いつつも、食材などは関心がありますね。先に挙げた志村史夫氏も語っている、「美味しいものを少し」ということの重要性を、身にしみて感じています。
 さて、健康にいいことを全てやってしまったという人の本、アラン・J・ジェイコブズ著『健康男』には、健康もまた立派に中毒になることが示されています。

 「実体験派ジャーナリスト」を自負するジェイコブズ氏は、極めて極端な健康法を試すのですが、その健康プロジェクトの内容は読んでいただくしかありませんし、判断はその上でということでしょうが、昨今の日本の健康志向、ダイエット志向には、何か通じるものを感じてしまうのは私一人でしょうか。


自己啓発書にハマる、中毒ですね

 これも、他人のことは言えない過去があります。「売れ筋の本になればなるほど字が大きく、行間の余白が大きいのも特徴です。」という、鋭い観察(大概、そう感じていますが、指摘する人は少ない。そう思ったら啓発本買わないかも)を披露するのは、谷本真由美著『キャリアポルノは人生の無駄だ』ですが、これ読んだだけで、「うむ」です。

 キャリアポルノとは、自己啓発本のことですが、著者によれば、説教系からノマド系まで、8種類の分類があります。また、その問題点としては、効果の検証がない、誇大宣伝、失敗に対するフォローがない、などの指摘がアメリカ心理学協会のジェラルド・ローゼン博士からされていること、また、実はキャリアポルノの著者で成功していないケースの列挙など、思わずにやりとします。
 自己啓発書に惹かれる若者について、「読者の心の中に「不安」と「恐れ」があるからだという著者の指摘は深刻だと思います。その不安と恐れは、「自分たちの親の世代は享受してきた職業的安定や経済的豊かさを、自分たちは享受できない」という経済的な不安と恐れだといいます。そして、就業状況から見えてくることは、非正規雇用が依然として増大していることです。つまり、非正規雇用の不安と恐れにほかならない、という日本の雇用問題が浮かび上がってきます。それについては、次の機会に触れたいと思います。
 キャリアポルノは欧州では人気がないのですが、アメリカでは人気だそうですが、ここにも、考えるべき問題がありそうです。日本はアメリカのパロディではないのかという著者の分析と「働くことだけが自己実現の場ではない」、「仕事は仕事と割り切る」という対処法は、中毒症状の解消法として、共通するものがあるように感じました。



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