はじまりかけている「未来」の予感

人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。


今日の珈琲
 肌寒くなってきましたので、お湯の温度を高めにして、今日はキリマンジャロです。豆を挽いた時の香りとかすかな藁のような有機的な匂いとでもいうものが心地よいくつろぎをもたらしてくれるようです。


ロボットは歌う
 参議院選挙の期間中に、話をして、簡単な用事をこなせる、最近ニュースなどでみかける「ロボット」を販売している、新卒の社員と知り合いになりました。主な販売ターゲットは、ご多分に漏れず「高齢者」なんだそうですが、少し寒い景色のように思えるのは、私が、20世紀に生まれ、ヒューマンなコミュニケーションの幻想を、当然のこととして持ち続けているからでしょうか。
 宮地悠介著『ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)』を読みました。

 やがて、日本の領空に、既に他国の無人機が飛ぶ時代が来ていますが、自国の無人機が飛ぶときも、そう遠くはないという予感がします。そういうことからすれば、本書の世界は、現実と虚構の世界が分かちがたく紡ぎ出された糸で織り上げられているという感じがするのも、あながちハズレではないのでしょう。
 ヨハネスブルグで、見捨てられた耐久試験場で、何年も落下を繰り返す日本製のロボット・DX9の一体と目が合い、それを捕獲しようとする少年と少女、9.11テロで、小説的処方のうまさと、半分は幻想の現実、混乱した認識はアフガンから、団地が墓石に見える、近代建築につきまとう廃墟のイメージと、ツインタワーの建築家につながる北東京まで、連環する5編の連作は、ロボットをセールスする優秀で、人柄のいい新人社員の向こうに見えてくる日本の現実と交差しています。


Amazonでどうぞ