オレって、少し、老人、でしょう

人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。


大雪(たいせつ) 『閉塞成冬(そらさむく ふゆとなる)』

 にび色の空が重くたれこめた感じの語感です。白菜や大根がおいしくなる時期ですが、大根をうまく炊きあげるのは、なかなか頃合が難しようです。寒い夜に、ダシのよくしみたアツアツの風呂ふき大根というのは、なによりですね。柚子味噌に鳥そぼろではなくて、餡かけ鳥そぼろというのも、むかし、JR阿佐ヶ谷駅北口の『北大路』でよく食べたことを思い出します。

珈琲は「ドミニカ」でした。うまく淹れるのはなかなかです。ゆっくりと、手間をかけて、と思うのですが、余裕がないと、そうはいかないようです。


紙がめくれない

 この2、3年、うまく紙がめくれなくなりました。といっても、病のせいではなくて、水分が足りなくなってきたせいです。『アノ、ホラ、なんていったっけ」という問いに答えてくれる、『アノホラ・ロボット』とか、『昭和30年代がなぜ流行るのか』、筆者がおじいさんになったから語る、共感の本が、南伸坊著『オレって老人?』です。もちろん、おじいさんやおばあさんではない人が読んでも、面白くって、ここが、この筆者の持ち味だと思いますが、少し元気になる本です。

 「死ぬ前に読みたい本」では、「十分に字が大きいものが望ましい。」、そして、「内容の、あまり難解なものも、死ぬ前に適していない。」、そして、「笑えるのがいいと思う。」、だって、「ちょうどフフンと笑ったところで、コロリと死ぬといい。」でしょうからね。
 「法的に老人」のところでは、単に団塊世代である自分の実感として、「ほぼ、50%は、自分を老人と思っていない」といい、さらに、「残りのほぼ50%が、自分を老婆と思っているはずがない」というところから始まる本書は、ところで、なんておいう書体で組まれているのかが、とても気になる本です。『小塚明朝』かしらと思ったりするのですが、「いや、少し違う」などと思えるくらいあいまいですが、『書体』が気になるのです。「文体」と「書体」が一体となって、ビジュアル・コミュニケーションが成り立っているとすれば、本書は、そういう、はずれた関心も持たせてくれる面白くって、少し元気になる本です。
 

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