「国民の安全を守る」ということ

人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。


大雪(たいせつ)『熊蟄穴(くまあなにこもる)』

 春菊が旬のお野菜。鍋には欠かせません。海老と鶏のつみれ団子の鍋も良いです。
 珈琲は、ドミニカです。


『調査報道』の重要性が増してくる

 先日、懐かしさとともに、そうゆうことだろうという思いで、映画『大統領の陰謀』を衛星放送で観ました。今日、「特定秘密保護法」が公布され、今後1年以内に施行されることになりました。国民の安全のために、国の情報セキュリティーレベルの確保は必要でしょうが、同時に、国民の安全が脅かされるような権力の情報隠蔽があれば、これは、知らされなければならないと思いますし、そのためのジャーナリストの使命は重いし、そのジャーナリストの「適正な業務による行為」が処罰の対象にならない規定の意味もここにあるのだと思います。
 
 福島県で、避難地域に指定された地域で、イノブタが繁殖して、被害を与えているというニュースを見ました。家畜が野生化しているという言葉だけでなく、こうして、映像でみると、とても現実味がないようにもおもえ、戸惑います。あわせて、除染のニュースなどは伝えられることが多いのですが、拡散降下した放射性物質の健康に対する影響はどうなっているのでしょうか。チェルノブイリの事例に照らして、長期間に渡る低線量被爆と健康の問題は、将来の重要課題の一つでしょう。福島県民の健康管理調査も、2年半以上の時間が経過して、県内を一巡する時期になっているのではないかと思いますが、この、福島県が実施している「県民健康管理調査」を取り上げた調査報道についての、日野行介著『福島原発事故 県民健康管理調査の闇 (岩波新書)』を読むと、質の高い調査報道が求められると思いました。

 穏やかと思える程に淡々と記述されているかに見える本書は、かえって、事の本質を浮かび上がらせているように思えます。調査を進める際の助言や、結果の評価をする「検討委員会」には、議論を一定の方向に誘導するような秘密の「準備会」があったこと、そのことが発覚したあとの関係者の意識に垣間見える権力の本質に、「大事なのは被爆者の健康ではないのですか」と叫びたくなります。詳細は本書を読んでいただくとして、調査報道に関わるジャーナリストの覚悟のようなものも、「取材を重ねる中で、よく想像したことがある。10年後か20年後か分からないが、甲状腺がんに限らず、健康被害を訴える人々が出てきたときにどうなるだろうかと。」の行を読んで感じました。けだし、この本を書くに至った著者の思いの基底部がここにあるのではないだろうか。


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