インテリジェンスのケーススタディ
人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。
定点観測・東天
強い寒波が日本列島をおおっています。厳しい寒さが続いています。家の横の通路に、蛾の成虫の死骸がありました。こんな時期にどうしてと思いましたが、廂の裏あたりに潜んで、この冬を乗り切ろうとしたのが、あまりの寒さに死んでしまったということでしょうか。
小寒 『水泉動(しみずあたたかさをふくむ)』
自然界では、見えないところで少しずつ春に向かっての変化が起きています。凍った水の下では水が動き出している、このかすかな予兆をとらえる先人の観察眼、時代、社会の動向にも、こうした観察眼が求められるでしょう。旬の野菜は「ブロッコリー」、茎の部分も工夫でおいしくいただけます。
「オリンピック」に埋め込まれた「非言語的言語」の符牒
2020年のオリンピック招致のプレゼンテーション、最終段階での安倍首相の英語のスピーチは、1964年の東京オリンピック開会式の航空自衛隊ブルーインパルスによって大空に描かれた五輪のマークの印象を語って、印象深いものでした。そして、このスピーチに、安倍首相の目指す何ものかが示されていたのではという思いを強くしたのは、手嶋龍一・佐藤優『知の武装: 救国のインテリジェンス (新潮新書 551)』を読んだ時です。
「手嶋 安倍総理は、日本の政治家には珍しく、スピーチ・ライターを抱えています。ジャーナリストから外務省の外務副報道官に政治任用され、その後、安倍官邸に内閣審議官として迎えられた谷口智彦氏です。」という記述の後に、谷口氏の慶応義塾の大学院での講義内容を紹介していますが、「戦後史の節目としての1964年東京オリンピック」の引用で、安倍首相のスピーチと重なる講義内容の紹介がありました。手嶋氏は「安倍総理は思想信条とぴたりと重なるスピーチ・ライターを見つけたものですね。」とまで語っています。
そして、谷口氏について、「この人は保守派にして日米同盟論者なのです。」と語りきっています。安倍首相の行動分析に示唆的な情報を豊富に提供している谷口氏の著作については、次回以降に取り上げるとして、本書では、オバマ政権の安倍首相に対する微妙な評価や、「外交の武器としての道義」についての示唆や海洋覇権とTPPの問題、英国についての改めての注目、さらには、内閣法制局長官の人事など、現下のインテリジェンスの主要課題が独特の角度で取り上げられています。あまりに示唆的な本書は本年注目の一冊だと思います。
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