『ミニ書斎をつくろう』を読む

人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。

定点観測・東天


 今日は少し寒さも和らぐという予報通り、少し凌ぎやすいかも知れません。でも、夕方からはまた厳しい寒さになるとのことですから油断はできないですね。

大寒 『款冬華(ふきのはなさく)』

 旬の魚は、鰤です。それなのに、昨日は鰆を食べてしまいました。ミスマッチです。「寒」の時期の水は腐りにくく、やわらかい、というようなことから「寒仕込み」が行われてきたといいます。これは食べ物だけでなく、紙もそのようで、この時期漉いた紙は張りがあるともいわれているようです。
今日の珈琲は、マンデリンとバリのブレンド、寒の水のせいか(水道ですが)まずまずでした。

なぜ「ミニ」書斎なのか

 少子化で、居住環境は好転が予想されます。全国の空家の数も増えています。昔から、自宅に「書斎」を持つことは、多くの男子にとっての夢でしたが、それが実現しやすくなってきているのではないでしょうか。それなのに、なぜ、「ミニ」なのか?
 これまでの住環境を直ちに変えることが難しいのと、この歳になってわかるのですが、そんなに家族と離れて独立した一室を構えるよりは、ささやかな工夫で、条件をクリヤーして(こもり感の創出や独立性の確保など)、いわゆる「デッドスペース」を活用して、そこにこじんまりと、書斎を構えるほうが、今はいいのだという感じがあるからではないでしょうか。

 「ちっちゃな家シリーズ」で知られる建築家の杉浦伝宗氏が、狭小住宅を設計するに当たって編み出した技術の上に展開する、ミニ書斎の作り方が存分に、具体的に、できるやり方で開かされているのが、杉浦伝宗著『ミニ書斎をつくろう (メディアファクトリー新書)』です。

 男になぜ書斎が必要なのか、著者によれば、「家」というのは、女性のために存在するのであり、妻であり母親である女性であれば、家を丸ごと一棟自分のテリトリーにすることができますが、男は「所帯主」という冠をかぶせられても、実は、決まった居場所を持っていないことが多い。そこに、男の居場所としての「書斎」の必要性があるというのですが、まったく、同感です。最近、どうも張りがなかったのは、リタイヤして書斎も整理してしまったせいであったかと、にわかに思い当たり、本書を手本に、あらためて「ミニ書斎」を考え出してみたら、みるみる元気になってきたというのは少し現金すぎるかもしれませんが、その程度の効果はあるようです。
 押し入れや階段まわり、廊下の一部、リビングの一部、寝室の一角などにつくる「ミニ書斎」、その快適な空間を作り出すための、「空間三原則」など、盛りだくさんのノウハウは、きっとあなたの生活に張りをもたらすでしょう。

理想の『椅子』の計算方法

 特に、重要なポイントと私も考えていた『椅子』について、理想の高さと、机との「差尺(さじゃく)」の計算方法など、簡単に言うと身長×0.25−1と身長×0.55÷3−1のプラスとマイナスということになるのですが、詳しくは本書で研究をお願いします。

 畳一畳、二畳のスペースに生きた先人たちとして、伊達正宗(彼は一日4時間を二畳もあったトイレであれこれ考えていたとか、夏目漱石は二人で二畳の部屋にいたこともあり、内田百輭も三畳の広さの家に住んでいたこともあったとか、高村光太郎花巻市の三畳半の山小屋で7年間、一人で作品を書いていたとか。「机」、「椅子」、「書棚」の「書斎三種の神器」についてのくだりを含め、参考になります。


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