都市に重なる”時の層”
人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。
定点観測・東天
よい天気ですが、また雪になるという予報です。外れてほしいなあ。
立春 『魚上氷(うおこおりをいずる)』
今日の珈琲はマンデリン、なんということか、インスタントコーヒーの『カフェグレコ・エスプレッソロースト』を買ってしまいました。気になって。カフェグレコにはドリップの製品もありますが、インスタントであるところが、この場合大事なんで、私的には。
むかし、飲んでいておいしかったと今でもユウイチ君が言う、『ユーバン』というインスタントコーヒーのことなども思い出すので。
都市は『時の積層』でできている?
この二冊の本を読むと、都市というのは、人それぞれの時間の積層、レイヤーでできているのではと、つくづく感じます。それは、甲斐みのり著『京都ロマンチック案内―続・乙女の京都 「お散歩気分」でめぐる、レストラン・喫茶店、レトロ建物・宿・ホテル、雑貨とおしゃれを探す旅 (MARBLE BOOKS)』と、『東京ロマンチック案内―レストラン・喫茶店・美術館・博物館…ノスタルジック&モダンな東京案内 (MARBLE BOOKS)』の二冊です。
まず、東京よりも京都のほうが紹介されている場所やモノ、ことなどについて体験しているものが多いということでした。灯台もと暗し、というにとどまらない、時間の傾斜を感じてしまいました。しかし、それよりも、「乙女の」という切り口が、堅牢に見える建物が建ち並ぶ都市が、実は、そこを訪ねる人にとっては、自分固有の「時の層」がたゆたう空間なのではないかと思わせてくれるのです。もちろん、紹介されている場所やモノが重なってもいるのですが、圧倒的に、知らなかった、私的にはおそらく知りえないであろう場所とモノが、狙い通りのカタログ的な提示で、興味を抱かせてくれます。それは、重なるものがいくつかあることで、著者の感性とつながるものが、かすかではあっても、自分の中に確実に存在すると感じるからですが。
『ゴスペル』、『河道屋』、『無りん庵』、『長楽館』、『近為』、『菊一文字』くらいしか重ならず、東京に至っては、『神田まつや』、『旧岩崎邸』、『竹むら』、喫茶店については全く重ならないという惨憺たる結果で、私の前にフロンティアが広がっていました。
重なる時間の層を縦断して突き抜けているものと、その層の中にたゆたうものと、いままでは、そこにあってもないに等しかったものが、関心を持つことで姿をたち現してくるということでしょう。全部ではないにせよ、この中の多くの場所とモノに出会いに行きますね、きっと。
そして、場所やモノだけでなく、「こと」についても、同じようなことがいえることがあるように思います。たとえば、音楽の「コト」。ひとつは、『ビートルズ』、そしてもう一つが、『タイガース』、でしょうか。
最近、テレビでタイガース再結成の映像を見ながら、かつてこの「コト」を体験した人のみならず、かなりの世代にわたるのではと思っていたら、こんな本がありました。瞳みのる著『ザ・タイガース 花の首飾り物語』です。
タイトルも表紙も見るからに、そうだなあという気になるのです。吉田拓郎と沢田研二の対談番組なども見ましたが、音楽も、「僕らの時代」がかすかに聞こえている気がします。
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