タウリンと戦闘機パイロット

人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。

定点観測・東天


 気持ちいい空の色です。

雨水 第五候 『霞 はじめて たなびく』
 霧は、秋の季語だそうで、春に出る霧を「霞」と呼ぶのだそうです。夜の霞は、『おぼろ』ということで、歌舞伎の名セリフ、『月もおぼろに白魚の、かがりもかすむ春の夜』も新たに合点のいくことに。

今日の珈琲

 ドミニカ・カリブ、少し熱めの水温で。

君は「レッドブル」を飲んだことがありますか?

 私はありません。4、50年前に、コーラ(ペプシもコカコーラも)を飲んだ一時期を除くと、この種の飲料は飲んでいません。しかし、実は、「レッドブル」はこの種の飲料ではないのでした。そのことを知ったのは、本書、ヴォルフガング・ヒューヴェーガー著『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』を読んだからでした。


 つまり、清涼飲料ではなく、エナジードリンクなのです。それでは、エナジードリンクとは?
 はやい話が、リポビタンDと同じだということです。本書は、これまであまり知られることの少なかった「レッドブル」について、商業者を含め、そのマーケティングの秘密に迫るものです。私は、唐突に、高村光太郎の「道程」という詩を思い浮かべましたが、オーストリア発祥の企業「スワロスキー」、「マナー」に次ぐ第三番目の企業なんだそうで、アメリカの企業ではないということも、「へー」でした。
 「レッドブルのための市場は存在しない。我々がこれから創造するのだ。」という宣言が、あの詩を思い出させたのでしょう。それだけではなく、文字通り発端は、『リポビタンD』だったのでした。そして、「タウリン」を含む飲料は、戦時中の日本軍部が戦闘機パイロットの視力強化のために使われ、戦後は東アジアでエナジードリンクというジャンルが存在していることを、新たに編集しなおしたというところに、「レッドブル」の秘密があるのではないでしょうか。
 創業者ディートリッヒ・マテシッツの様々なエピソードを含めて、ユーロにおけるビジネスの作り方には、アメリカにないしたたかな精神を感じます。面白い本だなあ。


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