「海」の遺伝子というものがある?

人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。

定点観測・東天

 春の雨は、なまめいて好きですね。

雨水 大六候 『草木 めばえ いずる』

 桜の枝を見ると、花芽がついています。もはや春なのでしょう。しかし、週末からはまた雪になるところもあるようです。


何かにつけて、気になること
 日本の国について、何かにつけて考えてしまいます。
 芭蕉辞世の句、そこによまれた『夢』とは、西国をめぐる旅の計画のことであった、として、三百年前、大阪で客死した芭蕉の、西国への夢を追って旅をする、長谷川櫂著『海の細道』を読んでもそうでした。

 印象深い写真もそうですが、極端に「私」という言葉が少ない(徹頭徹尾自分の想いを語っているからなのかと思われるのですが)短い文章(著者が俳人ということで納得ですが)と、印象深い視点で切り取られた写真が魅力の本書でも、俳句や和歌のリズムの、五拍、七拍は、航海から生まれたのではないかという気づきのあと、天気予報でも、ユーラシア大陸の寒気団や南の海の台風の動向を抜きにして日本列島の気象予報が成り立たないように、「日本国にと歴史は東アジアという大きな枠組みの中で眺めることによって、よりよく理解できるということ。
 日本の歴史もまた東アジア全体の中で動いてきた。東アジアとは中国、朝鮮、日本、台湾、ベトナムを含む地域である。
 東シナ海南シナ海の周りをこれらの大陸や半島や島々が円環を描くように囲んでいる。
 この海を中心にした東アジア全体を眺めることによって、日本の国もその歴史もはじめて理解できる。」そして、その先のことについて、著者は語ります。「この国の未来を願うのであれば、日本の国はつねに海の彼方へ向かって開かれていることこそが大事である。」と。それが、国を閉ざし、孤立させる思想を乗り越えさせるということを忘れぬように、と。
 京都の落柿舎を皮切りに、瀬戸を渡り、九州・大宰府壱岐対馬、慶州、上海、台湾、沖縄をめぐる『海の細道』は、「いま」という時に、強くつながっています。


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