伝えられたもの、見つけたもの、『カフェ』の本を読む

人鳥堂の飯島です。意見は私個人のものです。

定点観測・東天

 雨です。春の匂いです。

雨水 第六候『草木 めばえ いずる』

旬の野菜は、「山独活」、酢味噌和えが、しゃきしゃきとした歯ごたえで好いですし、きぬさやと一緒にした卵とじも、独特の食感と味があって、懐かしい味です。

今日の珈琲

 今日は、「イエメン・マタリ」です。

ワインのように珈琲を楽しむ

 わけあって、ワインを楽しむことはなくなり、珈琲はお構いなしということで、「ワインのように珈琲を楽しむ」という言葉を見たときは、そうだと思いました。以来、コーキ君がコーヒーミルをプレゼントしてくれたこともあって、珈琲にのめりこんでいますが、もう少しゆとりができたら、珈琲の場所を楽しんでみようと思っています。もちろん、学生時代から、喫茶店が、生活の一場面であったのですが、もう少し違った意味で、ということですが。
 さて、『カフェ』についての本(「喫茶店」ではないことに注意が必要です。)に、カフェもやっている本屋の書棚で出会いました。川口葉子著『京都 カフェと洋館アパートメントの銀色物語』です。

 著者は、知り人ぞ知る、「カフェ」の専門家、もっとも、私は本書を読むまで知りませんでした。私にとっては、「喫茶店」というのがそういう場所なので。そして、喫茶店は、先輩や友人に連れていかれて知り、思い切って一人で行き、なんとなく誘われて、ふらりと入って、発見の喜びを味わって知ってきたものがほとんどです。ですから、こういう本は、自分との交差する店を、本の中に発見して、うれしくなったりするものだったのですが、著者の語る『カフェ』は、そういう私とは重ならないのかと思いながら読み進めると、「喫茶マグドラ」の店主の言葉が紹介されていました。曰く、「カフェはつねに情報を発信して、お客様に新しい刺激を与える場所。喫茶店は人生の止まり木。お店のほうからお客様に働きかけることはしない」、と。さらに、接点は、「コロナ洋食店」のタマゴサンド復刻版の紹介で、カウンター奥で働いていたご夫婦を思い出しましたね。
 ということで、取り上げられているお店を改めて眺めれば、実は、本書は、『喫茶店』の本なのではないだろうかと思うのでした。そして、疏水沿いのアパートメントの謎については、読んでいただくしかないのでした。
 改めて巻末のカフェリストを見て、もう少し大きな写真と活字であってほしかった、と、つくづく感じました。それは、著者の、『東京カフェ散歩 観光と日常 (祥伝社黄金文庫)』を読んだ時にも感じましたし、『コーヒーピープル 一杯のコーヒーに人生を注ぐ、十四人のトップランナーたち』では、店舗の写真に乗せた所在地のフォントのサイズにも。

  


 でも、そのことは、この三冊の魅力を損なうものではないのですが。
 学生時代、喫茶店にはよく行きましたが、学校のあったお茶の水界隈ではなく、大概は、中野駅のまわりでした。マスターがいつも囲碁を打っていた「ベートーベン」、水だけ飲んで出てくるように先輩から言われた美人喫茶の「オーロラ」、言わずと知れた「クラシック」、南口では「凱旋」、いつのまにかみんな、なくなってしまいました。

 
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