食の構造物を知る

人鳥(ぺんぎん)堂の飯島です。意見は私個人のものです。

タイトルが分かりにくいという声もあり、変更しました。方針は変わりません。

定点観測・東天


 曇りのち晴れ、なんですが、朝はこうでした。

啓蟄 第七候 『蟄り虫 戸を 啓く』

 昨日は蟇蛙が車にひかれていました。時候そのもので、びっくりしました。

今日の珈琲

カ・マタリ・イエメンです。カフェの本を紹介したので、次々とかつての喫茶店の思い出とともに、面白い本を発見しましたが、それは次回に。


「建築本」かと思ったら、「食べ物本」でした
 この本のタイトルをみれば、建築にまつわる本かと思います。違うと言い切るわけにはいかないのですが、しかし、私には、食べ物についての本に思えてしまいました。後藤治監修・著、二村悟著、藤森照信その他参加の『食と建築土木』がそのほんです。

 本当は、こういう本も好きなんです。「農山漁村に見かける石垣やこや、仮設の棚」に惹かれる著者らは、地域の風物、風景と化している、地域の特産と呼ばれる「食」の世界と結びついた構造物を紹介してくれることで、もう知とつの味わいを教えてくれます。
 「地産地消や地域振興といっても、それを生み出している、あまり知られていないインフラについて知ること」は、豊かな視点でまちを、村を考える手がかりになります。その他の参加者の顔ぶれを見て、それほど難しいことを考えなくても、「この食べものはこうしてつくられているのか」と知るだけで、うまさに奥行きが出てくるのではないでしょうか。うんちくのひとつになりますし。

 たとえば、「柿屋」です。干し柿を作るための仮設の小屋ですね。私は、小屋より「干し柿」が好きなんですが。あの、独特なねっとりとした食感と甘さがいいのですが、あまり柔らかいものでなく、「古老柿」と呼ばれるものは、つるして干すのではなく、柿屋において、木枯らしに当ててつくるのだそうです。文字通り「ころがしている」。使われている柿は、「鶴の子柿」で、茶畑の周りに霜よけで植えられたものだそうで、産地が、京都府の宇治田原町だということでうなずけますね。ちなみに、本書には、「うまい玉露茶と古老柿」などとぜいたく極まりないと思えることが書いてありました。
 一方、「つるし柿」は福井県南越前町が産地のもので、燻した干し柿、「串柿」は一本に十個の柿を刺して干したものとか、面白い情報と、写真とイラストが好いです。
 守備範囲を広げるには格好の本でした。


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