さすがと言うしかない「独居老人」
人鳥(ぺんぎん)堂の飯島です。意見は私個人のものです。
春分 第十二候『雷 乃(すなわち) 声を発す』
考えるまでもなく、雨雲です。しかし、気温は高く、穏やかな感じです。
今日の珈琲は「グァテマラ・サンタバーバラ」うまいです。
たぶん、こういう風な人は多いのだと思う
現役を引退してから、買い物に行ったりして町を歩いていると、高齢者が多いと感じます。(自分だってそう見られているのだろうけど。)市場に買い物に行っても、もちろん、若者だっているのですが、元気に買い物をしている年配の、それも、結構、男の人が多いのです。ほとんどが、見た目、私より10歳は年上とお見かけするのですが。考えてみれば、もっと前からこの風景はあったに違いないのですが、いままで日常的に感じなかったのは、私がまだ、その時間帯に町を歩いていなかったからなのでしょう。
そして、買い物に来ている高齢者の多くは、買い物の対象と量からは、おそらくは一人暮らしなのではと推測されるのです。私の場合は、ふたりで買い物に来ますが、ふと、一人で買い物に来る自分の心象風景はどんなものだろうかと考えることもありますが、想像はつきません。
さて、都筑響一著『独居老人スタイル (単行本)』です。
「ここ数年のあいだに出版した単行本を並べてみても、じいさま・ばあさまを取材した本ばっかりだ」、と著者自らが書いていますが、時代の反映でもあると思います。
まず、カバーの絵(本編に登場する川上四郎氏描くもの)にぎょっとして、さらに、本編に登場する様々な、独居老人にタジタジとなりながら、日本の今とこれからを、こんな角度から、ふと「めい想」(迷か瞑かはたまた謎かとも思うのですが)してみることも、ヘンに肩のこる思索を離れる飲み物のようにも感じるのです。横町のご隠居めいた生活スタイルよりはもっと激しいのですが、ここまでではないにしても、似たようなこういう人、案外多いくなっているのではないでしょうか。そして、それは、著者の言うような、「あえて独居老人でいること。そして、あえて空気を読まないこと。それは縮みゆく、老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効な生存のスタイルかもしれないのだ。」という底層の流れがあるからかもしれません。
解毒剤のような、レシピ本
強烈な印象の解毒剤のようなレシピ本をなぜかたまたま、同時に手にしていたのは、幸いでした。『たれ・ソースの黄金比レシピ345: 家庭料理のおいしい味つけを早引き!』は、なんの前書きめいた文章もなく、レシピが写真とともに、しょうゆから酢、塩、みそ、だしという風に掲載されている、しかも、微に入り細に渡るような記述ではなく、シンプル極まりないように私には感じられ、いっそ、解毒作用の効能を感じました。
料理もしない人間が、なんでこんな本を読むのか。「読書の魔」の解毒のためというか、まあ、それで、思い立てば、実用的な知見もあるという二つのご利益があることになります。
特に、しょうゆと酢、それにみそは知って食するという喜びを日常で味わえますよ(余計なことですが)。
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『候』の数字を直しました。