”横町のご隠居”は落語の中だけか

人鳥(ぺんぎん)堂の飯島です。意見は私個人のものです。


清明 第十三候『玄鳥(つばめ) 至(きた)る』

 朝と日中の気温の差が大きく、血圧が高い人など、健康についてコントロールに心配りが必要です。それでも、暖かくなって、好い季節に向かいつつあります。
 今日の珈琲は「マンデリン」、やや苦めに淹れてしまいました。もう少し気持ちにゆとりを持って淹れる必要があると反省です。


積極的な”隠居暮らし”

 ”日本文化”と言うべきか”和の文化”というべきか、微妙に違うものを感じますが、それにしても、日本人の関心の向きがその方向に向かいつつあること、また、その流れを強めたいという意図もあるのでしょうが、心の奥でうなずくものがあります。
 だから、地域コミュニティーと言わずに、路地や横町、町内などで一度くくりなおしてみるといいかも知れません。そして、隠居道楽も含めて、積極的な”隠居暮らし”というのについても、江戸時代ではなく、いまの時代で考えてみるのもどうかと、思うのです。そして、とっかかりは”周辺”からという手法により、「金魚」と「俳句」について、参考書を探してみると、こんな本があったのです。まず、「金魚」。吉田信行著・金魚の吉田監修『金魚飼育全書 〔保存版〕』です。

 創業文政2年という「金魚の吉田」というのですから、江戸の昔に源をたどる隠居暮らしにはぴったりのように感じます。子どもの頃、ガラスの金魚鉢は、たいがい玄関入口に置いてありました。あるいは、庭に置かれた大きな火鉢みたいなものに水草と一緒に、金魚が泳いでいたのです。
 金魚は室町時代に民国より伝来したと言われていますが、江戸時代、平和なシンボルとしてブームがあったようです。飼育方法を学ぶ前に、「浮世絵で見られる飼育容器の変遷」というのがいいです。江戸時代の金魚水槽をみながら、「裏屋住 つき出し窓に 金魚鉢 柳樽」という句が紹介されていますが、ぴたりでしょう。

 次に、「俳句」ですが、隠居のたしなみとしては、格好のものという気がします。この分野は良いテキストにこと欠きませんが、日々楽しむという視点と、それぞれ関心のあるものにかかわってのものという角度で取り上げたのが、「一句シリーズ」です。一日一句ですから、日めくりの感覚で、日々をつなげるに繋げ易いとおもいます。
 関心のある分野で選んでみてはどうでしょうか。たとえば、櫂未知子著『食の一句 (365日入門シリーズ)』です。

 食べる、という「ごく日常的な行為がそのまま詩となる、そんな文芸は滅多にあるものではない。」という著者の言葉は壮絶ともいえる経験から生まれていて、やわなものではありません。しかし、それでも、「食の俳句」というのは、惹かれるものがあります。もっとも、私が食いしん坊なだけなのですが。

 

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