京都本、二冊を読む

ぺんぎん堂の飯島です。意見は、私個人のものです。

大暑 第三十六候『大雨(たいう) 時行(ときどきにふる)』

 気のせいか、太陽の位置が低いようです。夏至を過ぎてちょっと経ちますから、陽が短くなってきているのでしょう。
 それにしても、時候を裏切る青い空が、今日一日の暑さをあらわしています。BS放送で『夢千代日記』、続けて『新夢千代日記』を見ています。
 今日の珈琲は「ブラジル」です。なんのてらいもなく、淡々とおいしくはいりました。


どちらをとるか、という問題ではありません

 『京都本』というジャンルは、確かにあると、私のなかではゆるぎないものがあります。もちろん、京都本といっても、その性格は、一色ではありません。京都に暮らしている人の視点あり、旅人の視点あり、なかには、この両方を融合させようという、贅沢なたくらみの本もあります。成功しているかどうかは別にして。一方では、柳の下の何十匹目かのドジョウを狙ったような、視点のぼやけた本もあるので、京都本を楽しむには、こちらにも選択眼を養う努力が求められます。
 定番といえる本もありますが、最近の京都本のなかで、「暮らす旅」という視点からの本がありました。NHKの日曜美術館でおなじみになりつつある、俳優で写真家の井浦新を起用した、暮らす旅舎編『京のろおじ 暮らす旅 京都』がそれです。


 起用されている旅人・井浦新への好き嫌いがあるでしょうが、それよりも、ポイントは、「京都で暮らすように旅をする」という狙いが果たされているかどうかですが、これは言うは易く、結構高いハードルです。軸は、彼が、点前を披露する茶会への参加という企画で、それに伴うあれこれをからめて、京都の旅が展開するというものですが、その成否は読んでのお楽しみです。『京都 情・景』と題した彼のモノクロの写真もあります。上京区の「はちはちInfinity Cafe」には、是非にも、行ってみたいと思いましたね。


 続く一冊は、木村衣有子著『京都のこころA to Z―舞妓さんから喫茶店まで』です。


 いまさら何を語る必要があるかとも思える、京都本の一方の雄と目している著者の本ですが、あえてリンクを中古の本に張ったのは、本としての感じの良さを知ってほしかったからです。
 装丁、表紙ともに、好いですね。こちらも『京都の景色』という写真ページがあるので、大きめのほうが楽しみやすいとも思えますが、なるべく状態のいい本を選ぶと好いと思います。


 新刊のほうがいいよという人には、文庫本もあります。こちらもブックデザインは悪くないです。

 「この本で紹介しているのは、いつ訪れても居心地の良い場所と、気が利いていて、誰かにあげるにも自分用にしてもちょうどよいお土産。」で、それは、著者が京都で暮らした8年間と、その後通った3年間の成果ということです。本書を読んで、今度は必ず行こうと思ったのは、「明倫小学校」跡の『京都芸術センター』と、寺町御池の『龜屋良永』で、こちらは、著者のいうように、私も、ちょうどよいお土産をいつも買っていた和菓子の老舗です。
 小学校のほうは、京都における小学校の成立の歴史を踏まえれば、火の見櫓があるかどうかも含めて、是非見ておきたいものです。
 しかし、今度とお化けは出ないというから、今度じゃなくて、いつ京都に行くか決めておきましょう。
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