なぜ、日本は世界一の老舗大国なのか

ぺんぎん堂の飯島です。意見は、私個人のものです。

処暑 第四十二候『禾(こくもの) 乃(すなわち) 登(みのる)』

 雲が重く垂れこめて、雨の気配です。と思っていたら急に日が射したりして、定まらない天気です。
 今日の珈琲は「ブラジル」です。定番の偉大さのようなものを感じます。おいしくはいりました。


知っている会社が一社もないという爽快さ

 本書に登場する五つの会社について、私は一社も知りませんでした。それでも、これらの会社は、創業以来、百年、二百年の歴史を重ねてきているのです。日本の経済、地方の創生とかいろいろと取り沙汰されていることの、方向は確かでしょうが、果たして的は、どんピシャリでしょうか。机上の計画では、読み間違うことが多いのではと、要らぬお世話の心配も首をもたげてきますが、より具体を、より現場で考える縁のひとつに、本書、野村進著『千年企業の大逆転』がなると思います。




 それぞれの会社については、本書を読んでいただくとして、世界の老舗企業、たとえば本書に登場する「近江屋ロープ」のように創業から二百年を数える企業が、各国にどのくらいあるかというと、実践経営学会の調査では、韓国を含む朝鮮半島にはゼロ、中国が六、インドが三。それに対して日本では三千社にものぼるのだそうです(本書による)。別のデータでは、の本・三千百三十、ドイツ・千五百六十三、中国・六十四。いずれにせよ、日本がダントツに多いのです。韓国でも、2008年に、韓国銀行がまとめた報告書でもそれを認めているそうです。



老舗企業の敵は”戦争”だった

 それでは、何故、日本は世界一の老舗大国になれたのでしょうか。その理由について著者は端的に、「日本が事実上、長期にわたって侵略されたことも内戦にみまわれたことも、ただの一度もなかったため」と語っています。「世界中の老舗を調べていて、はたと気づいたことがある。被侵略や内戦の期間が長ければ長いほど、その国に老舗は残らない。」ということは、沖縄の老舗企業率が日本で最下位であることからも証明されているようにも思います。沖縄の老舗企業率、「その背後にある戦火のすさまじさ」という言葉とともに、「老舗の最大の敵ーー、それはまぎれもなく戦争である。」という認識が、これからの日本の地方、経済を考えるときの基本認識であらねばならないと思います。



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