ヘニング・マンケルは1948年生まれだった

ぺんぎん堂の飯島です。意見は、私個人のものです。

白露 第四十五候『玄鳥(つばめ) 去る』

 いよいよ秋も本格的になってくるようです。旬の果物の梨ですが、「幸水」、「豊水」という赤梨系と、「二十世紀」などの青梨系があるということで、赤梨、青梨という系統があることを知りました。
 今日は、「ブラジル・カフェアンデス」のブレンドです。

北欧ミステリーの個人的な読み方

 「ミレニアム」、「キリング」、そして「ブリッジ」という、テレビ番組と連動していることで一層面白いと思える、それから本へと向かう傾向が、私の場合は強い北欧ミステリーですが、別の興味と関心で読みはじめたのが、ヘニング・マンケルの作品です。
 ウクライナ情勢が風雲急を告げ出したころ、彼の『リガの犬たち (創元推理文庫)』を目にして、ロシアと近隣周辺国との関係、この場合はバルト三国ですが、それと、スウェーデンという国との、日本人の日常感覚からではうかがい知ることが難しい関係を、ミステリーを通じて垣間見ることができるのではという、ミステリーを味わう本筋の楽しみと外れたところで、この作家を知りました。



 そして、今回は、ヘニング・マンケル著『北京から来た男 上』、『北京から来た男 下』を、中国とスウェーデンがいかに関係しているのか、そして、現在の中国について、また、アフリカ諸国への中国の関心など、北欧の作家にはどう映っているのか、に惹かれて、一気に読んでしまいました。

  


 大局観も小事によってうまれるとすれば、将来の変化の予兆はまた、微細な事実が積み重なりを読むことで可能になるとも言えるのではないでしょうか。作家もあとがきで、「これは小説である。それは私が書くものには現実の背景があるが、すべてが実際に起きたことを忠実に描いているわけではないことを意味する。
 だが小説であろうとも、重要な事実は正確に記さなければならない。現実に北京の天安門広場には小鳥がいるか、裁判官が執務室に置くソファを自分で買うことができるかどうかまで。」と記していることを考えれば、本書を読んで、受け止めたイメージは、事実の断片を基礎にしていて、そこから世界についての「ヴィジョン」を、間違いがあったとしても、自分の手で紡ぎ出したということが重要なのだと納得するのです。
 マンケルは、1948年生まれ、彼にとっての「彼の時」は、後のスウェーデン首相、当時の教育相だったオーロフ・パルメを先頭にスウェーデンでもベトナム戦争反対のデモが行われた、1968年であったことを知るという、さまざまな個人的思い込みにもつながる発見というおまけも着いてきたりするのですが。
 面白いです。

 


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