東西のまちの魅力の本を読む

 ぺんぎん堂の飯島です。意見は私個人のものです。

冬至 第六十六候『雪下(ゆき わたりて) 出麦(むぎ いずる)』

 箱根駅伝の熱狂から覚めて、写真は、今日の取り上げた本と絡んだものです。
 今日の珈琲は「グァテマラ」です。
 今日の二冊、本としては、似た様なジャンルに見えて、実はコンセプトは違うと思います。でも、「暮らし」に根ざして、志は共通のものがあるようにも思いました。

自由が丘と聞いて、どんなイメージを持ちますか?

 こういう趣旨の問いかけで始まるということは、それなりのイメージを持っている人や時には訪れたことがあるのではないかという読者を想定しているのでしょう。もちろん、様々なイメージや感想を想定して、それでもなお、自由が丘は奥深い魅力を持っている、という編者の人々の思いからこの本の企画が始まったといいます。おっと、肝心の本のご紹介がまだでした。ミシマ社編『自由が丘の贈り物 私のお店、私の街』が、今回の一冊です。



 本書を手にとったらまず、付録の地図を広げましょう。ざっと、自分の中の記憶の地図と、この、ミシマ社の人々によって取り上げられたお店の位置とをすり合わせます。
 私の場合、ほとんど重ならないのです。通った揚げ物中心の定食『瀬戸』は出ていないし、あの文房具店は名前がわからないし。亀屋万年堂長寿庵でようやくあたりをつけましたが。
 知らないところが満載というのがいいのです。しかし、それにしても、良くできた本だと思いました。まずはじめに、「本書の読み方」が解説されていますが、見開き2ページで完結する思いっきりの良い仕立てと、自分たちの本というアドバンテージを見事に活かしきった一冊になっています。手書きのお店の人のコメントなんていうのは、うまいね!、です。お店の「ロゴ」代わりのスタンプも、いや、これが「ロゴ」ですね、だって、お米やお肉はそうでなければ、据わり心地が悪いでしょう。
 まあ、こころが伝わりますね。


こちらも洒落た本ですね

 さて、暮らす旅舎の編になる『京都 手仕事帖 (京のめぐりあい)』ですが、この本も洒落た装丁で、みていただくとおわかりのように、雰囲気はこれまでと少し違うように思いました。

 帯をはずして、昭和8年の、吉村幸一郎作の木版画(『創作文様集』の名前しか知りませんが、これもそうなんでしょうか)を楽しんでから、おもむろに、本書の狙いは、何かを再確認しつつページを繰って行きました。本書は、「暮らすように旅をする」というコンセプトをひっくり返して、「旅するように暮らす」というか、暮らしの中に京都への旅があるというか、まあ、旅した折々に、手に入れた、茶碗や猫のメモ立て(写真参照)などが、暮らしの中にもうすっかり溶け込んでいるので、そう思うのかもしれませんが。
 竹細工や簾など、暮らしの用という、使う工夫の楽しみを味わえる、旅ということでしょうか。もう少し、手仕事について知りたいこともあるだろうと思うのです。最近、メディアも取り上げることが多いこの分野ですから。
 それにしても、少し文字が大きくなったような気がしてありがたい。気のせいかもしれないですが。
 ああ、京都行きたい。

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