『漢字』、日本と中国の違いをわきまえることから始まるものがある

ぺんぎん堂の飯島です。意見は私個人のものです。

穀雨 第十八候『牡丹 華さく』

 牡丹の花ではありませんが、躑躅の見ごろでもあります。ほほえましく並んだつぼみに、新入生が記念写真を撮っているような感じを受けました。そういえば、高校の入学の時のクラスの記念写真はありますが、卒業写真は見当たりません。どうしたかな。
 今日の珈琲は、「モカ」でした。「ブラジル・ピーベリー」を買いましたが、明日以降ですね。

『漢字』おさらいの意味は案外現在につながっている?

 安倍首相のアメリカ議会でのスピーチについて、様々取りざたされていますが、スピーチに対する評価は、「なんのためか」にするのか、その目的を果せたかどうかが第一義的に問われることだという考えからすれば、安倍さんの考える当初の目的に沿って、一定の成果をあげたのではと思います。それが、コンセンサスを得た目的であったかどうかは、別のことですが。
 そんなことを考えながら、吉田誠夫著『漢字のおさらい (おとなの楽習)』を読んでいたら、案外漢字について考えることは、今日の国際政治の、特にアジア情勢についての、意外な視点を見つけることになるかもしれないと思いました。



 そのことに触れる前に、人名の読みと漢字については、これほど多彩な文字文化を持っているのは日本だけじゃないかと思いますね。本書の著者は、「よしだのぶお」とお読みするのですが、「誠夫」が「のぶお」というのは、結構読めないと思います。

 さて、本書は、「現代用語の基礎知識・編 『おとなの楽習』」シリーズの一冊ですが、いろいろな教科の”おさらい”があるなかで、「漢字についてのおさらい」は、少し違ったニュアンスを持つように感じます。「それはわたしたちが日常的に感じたり考えたりしている、漢字のもつ社会的・文化的な機能がどのように生まれたのか、その歴史や意味をもう一度確認する、ということになるでしょう」。そして、中国の漢字は中国語であり、日本の漢字は日本語だという、ごく当たり前のことをわきまえず、同じ漢字だからという甘えた認識で、なにか、わかってくれるというような安易な期待を持ってしまうのかもしれません。しかし、「同じ漢字でもそれぞれ異質な言語として機能しています。」ということをまず認識し、文化文化のあれこれを知ることが必要ではないでしょうか。

『武』の意味解釈に込められたもの

 「武」という「会意文字」(象形文字指事文字を組み合わせた文字)について、本書では、『説文解字』の文を引いて、「『武』字を『戈』と『止』に分解して、戈などの武器を使用しないことが『武』だというのです。」が、この解釈の出典が、『春秋左氏伝』における、楚の荘王の故事にあることを述べた上で、原義からすれば、これは間違った解釈で、「『戈を持って歩く』ということが『武』になったと考えられる」としたうえで『武』が『戈を止める』という解釈が為政者にとっても、人気のある解釈であったことも紹介しています。うーん、考えさせられることがありますね。

 『難読語編』という、テレビでよくある、クイズのようなものもあります。ちなみに『幕間』はどう読みますか?『独壇場』などにいたっては、漢字変換も間違っていました。「袂を別つ」という『袂別』を何と読むのでしょう。おさらいが必要だと痛感です。
 


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