目線は「旅人」でも、「京都で仕事をする」人々

ぺんぎん堂の飯島です。意見は私個人のものです。

穀雨 第十六候『葭(あし) 始めて 生ず』

 筍の季節です。竹林で、掘り出したばかりの筍を、節をくりぬいて醤油をたらし、逆さまに竹の落ち葉立にてて蒸し焼きにして、皮をはぎうはうは食べるという食べ方を読んだ記憶があります。そんな幸せに恵まれることはありませんでしたが、旬の筍で、「たけのこご飯」の炊きたてを食べれば十分に幸せ感がいっぱいになります。ご飯が冷たくなってからも美味しいですし、少しおこげのところもこれはこれで美味なのです。
 今日は、「ルワンダピーベリー」でしたが、こちらも大地?の味わいがしました。


◎『京都本』

 実は、『京都本』といっても、いろいろな『京都本』があります。多くは、文化・文化財や旅に絡んだ書籍が多いのですが、京都の暮らしの歳時記風のものや、穴場紹介、パワースポットものなど、ジャンルは多様です。
 そして、様々な『京都本』は、よく売れるのだそうです。それは、「京都では京都本がよく売れる。それは観光客だけでなく、京都に住む人が読んでいるからだと。」。
 この言葉に出会った本が、「京都永住計画」的なものに並んで、旅人から一歩進んだ『京粋派』とでもいう人の、京都の少し変わった堪能の仕方を教えてくれます。アリカ編『京都で働く: アウェイな場所での挑戦』がその一冊です。



実は、『京都本』は京都人もよく読んでいる

 装丁も、起業ものの書籍にありがちなものと違って、いかにも京都本というたたずまいが、この場合、好感が持てます。さて、『アウェイな場所での挑戦ー』というサブタイトルは、「先祖代々暮らす人が多く、釤一見さんお断り釤釤をはじめとする独特のしきたりが知られ、排他的なイメージも持たれている。その永い伝統を尊ぶ街で、京都以外からやってきた人、つまり、故郷を離れ釤アウェイ釤な場所で挑戦する人たちが、どのように京都に溶け込み、ビジネスをものにしてきたかを探ってみようというのが本書の主旨である。」と、編者自らが『アウェイな場所で挑戦する人』だったという、取材する側も共感しやすい狙いの本であったようです。
 それはまた、「京都に限らず地方都市で新しい生業と居場所をつくり、生きていく人たちが増えるなか、自分らしい生き方や働くことの喜びを模索する方に、何か少しでも役立てば嬉しい。」という、此の時期、京都に限らず、全国区的な関心事にもつながっているということです。

 取り上げられているのは、染色、革細工、蒔絵、ショコラティエ兼カフェ、コーヒ豆焙煎、パン、賃貸事業、観光ガイドなど9組10人、なかに、私的に親近感のある会社がありました。かつてその会社の書籍「らくたび文庫」シリーズの中の一冊を紹介したこともある、「株式会社らくたび」は、本書で、改めて、日本では珍しい、観光ガイドの会社だということを知りました。共同代表の二人は、京都を専門とするプロの観光ガイドだそうです。
 京都で仕事を始めた人たちの眼に映る京都の魅力は、でも、旅人の目線を失ってはいないように感じるのも、京都本を京都の人もまた良く読んでいるということからもうかがえる、京都のまちの魅力の奥深さを示しているのではないでしょうか。



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