『豆』はいいです

ぺんぎん堂の飯島です。意見は私個人のものです。

芒種 第二十六候『腐れたる草 蛍と為る』

『芒』(のぎ)というのは、イネ科の植物の穂先のことだそうです。この雑草がイネ科の植物かどうかは分かりませんが、のびた穂先が風に揺れる中、一匹の黒猫がこちらを見ていました。
 次第に梅雨らしい天候が続くようになりました。静かな雨は結構なのですが、災害をもたらす豪雨には十分な注意が必要でしょう。この時期、天気予報がはずれることがストレスになるという人もいるのだそうです。
 今日は「モカ」をじっくりと淹れました。


『豆』を食べ、『豆』について考える

 珈琲も『豆』ですが、食べる豆についての本があります。べにや長谷川商店著『べにや長谷川商店の豆図鑑』がそうです。



 はじめは、「おや」という感じで手に取りますが、『豆』という植物の種、「植物の命がギュッとつまった宇宙」そのものを食べるという、しかも、次代に命をつなぐそのものを食べてしまうという、”実存的”とも言える食材に、不思議な感覚を覚えました。しかも、ここで扱われる『豆』は、在来種といわれるもので、ちょっと前までは、各農家が自家用に庭先や田畑の畦で栽培し、そのままゆでて食べたり、毎日のおかずにしたり、という生活に根差したものであったと言います。
 この在来種を残し、食べていけるには、文字通り「食べる」ことで、需要をつくり続けることが、消費する側の取り組みです。マメ科の植物は、大きく分けると6属に分類され、インゲンマメ属、ダイズ属、ササゲ属、ソラマメ属、エンドウ属、ラッカセイ属ですが、案外狭い世界のような気もしました。
 それはさておき、北海道を中心に在来種の豆が取り上げられていますが、日本各地の在来種、世界の在来種も紹介されていて、興味深いです。『手亡』(てぼう)という豆は白あんの材料ですが、どこかで見たような気がしました。そう、メトロポリタンプレス編『だんごや大福帳』という本でした。



このなかの『言問団子』のページに、「北海道十勝産手亡豆」という言葉があったのでした。そのほか、北海道富良野産の「えんどう豆」は随所に出てきます。つまり、需要をつくりだすには、だんごや大福を食べるという道もあるわけです。

 もちろん、我が家で『豆』を美味しく手際よくいただくためには、べにや長谷川商店著『べにや長谷川商店の豆料理』もあります。




 「豆は良うがすなあ」という、円生師匠の、豆を食べる仕草と、声が聞こえてくるような気がしました。いろいろな本があるのだと、あらためて感じ入りました。


Amazonでどうぞ