アメリカのこれからの戦略を知るなら

ペンギン堂の飯島です。意見は私個人のものです。

小満 第二十三候『紅花 栄(さく)』

 朝晩は涼しくても、日中は暑い日が続いています。こうしてやがて、盛夏を迎えるのでしょうが、その前に、梅雨冷の季節があるでしょうし、歳がいくと、空調対策も結構大変です。
 今日の珈琲は、「トラジャ」でした。昨日のテレビ番組で、「水出し茶」を取り上げていましたが、結構ブームのようです。
 
 広島でのオバマ大統領のスピーチは、様々な意味で感動でした。「核兵器のない世界」実現への、新しい段階への一歩であることを願っていますが、今回のサミットで見えてきたのは、「EU」対「アメリカ」+日本という構図です。アメリカのパワーが相対化され、その分、EU、ヨーロッパが相対的に存在感を増し、中国、ロシア、というプレーヤーのなかで、日本もグローバルな世界で生き延びていく戦略の必要性がますますたかまってきたように思えます。
 
 オバマ演説も抑えたうえで、これからのアメリカの政治的、軍事的戦略を考えるときに、参考になると思われるのが、本書です。

帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦略アンドリュー・クレピネヴィッチ バリー・ワッツ 著)



ヨーダ』と呼ばれる意味とは?

 本書の主人公は、平成12年11月4日(メモが確かであればですが)、日本経済新聞のコラム『風見鶏』の、『老軍略家からの警告』というコラムを読んで以来注目していた人物でした。1973年以来、ネット・アセスメント局を率いて、そのポストに君臨してきた、余人をもっては代えがたい洞察力があると、コラムでは書いています。コラムは、中国についての洞察に触れるものでしたが、本書でも、第8章、第9章に、台頭する中国と軍事技術革命をめぐる国家安全保障と国防戦略についての記述がありますが、それは読んでいただくとして、ロバート・M・ゲーツ元米国防長官、元CIA長官の「本書は非凡でありながらほとんど知られていない九〇代の人物の生涯を振り返るものだ。その名は、アンドリュー・マーシャル、ニクソン政権のジェームズ・シュレジンジャー以後すべての国防長官に仕えている。」、「著者は、本書をマーシャルの知の伝記と呼ぶ。その通りだが、それ以上でもあり、冷戦やベルリンの壁崩壊後の四半世紀の歴史に関する独特の視点を読者に提供する。」、そして、冷戦終結間際には、「すでに一〇年、二〇年先の戦略を探求していた。」、「今後数十年の間に我が国が直面する最大の課題は、中国の超大国としての台頭」であると、「国防総省幹部に告げている。」と。
 また、軍事技術革命により、『接近阻止・領域拒否』と呼ばれる能力の分析に詳しいのですが、それはともかく、この時期、一読おすすめの一書です。

 原題の『The Last Warrior』は、「大恐慌期に成長し、第二次世界大戦を若くして経験し、その後のソ連との「夜明け前の長い闘い」に立ち向かった男女の一人、この世代の中でおそらく最後の現役の政府高官であり、「最後の戦士」という原題にふさわしい。」という著者の言葉をご紹介しておきます。
 「彼の物語は、超大国としてのアメリカの物語でもある。」という、マーシャルの物語、ぜひどうぞ。


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