国家とグローバル企業にとって不都合な情報

ペンギン堂の飯島です。意見は私個人のものです。

立秋 第三十七候『涼風(すずかぜ) 至る』

 抜けるように晴れた蒼穹は、秋空といっても通りそうですが、完全に夏日が続いています。午後から急に豪雨にならなければいいのですが。
 旬のやさいは西瓜だそうです。今年は、西瓜、結構食べています。例年だと2回くらいですが、今年はもう3回食べました。
 
 本当は「南シナ海」について取り上げるところだったのですが、今日の珈琲が「パナマ・ママカタ・ティピカ」ということだったので、違う本になってしまいました。パナマのコーヒー豆というと、「ゲイシャ」が有名ですが、「ママカタ・ティピカ」も結構知られているのですね。ママカタ農園というのは歴史のある農園のようですし、まあ、様々な来歴があるようです。
 チョコレートのような感じということがよく言われますが、厚みを感じます。
 さて、それはそうとして、パナマといえば、現在は、「パナマ文書」です。しかし、2冊くらいの本を確認しましたが、これぞというものはこれからなんでしょう。ところが、タックス・ヘイブンをめぐる秘密文書の漏えいはこれが初めてではありません。今日取り上げる本書は、タックス・ヘイブンの本当の中心に係るものです。


世界の権力者が寵愛した銀行 タックスヘイブンの秘密を暴露した行員の告白』(エルヴェ・ファルチャーニ 著)




 タックスヘイブンに詳しい橘玲氏が慣習とイントロダクションを書いています。グローバルバンクHSBCプライベートバンキング部門の顧客情報およそ13万人分を盗み出し、仏、伊、スペインなどの司法、税の当局者に提供したということになれば、「国家とグローバル企業にとっては、不都合な情報と言わざるを得ない」のは当然でしょう。
 当然、人は「パナマ文書」との相似性や、更には、「スノーデン」事件との類似性を思わないわけにはいかないでしょう。事実、エルヴェ・ファルチャーニは、「脱税のスノーデン」と呼ばれているそうです。さらに、パナマ文書と同じ報道をめぐる構造もあります。
 ただし、本書の問題意識は、「なぜわれわれは金融を問題にするのか?なぜなら裁定取引が不平等を糧にする銀行の基盤になっており、誰も知らないのをいいことにそれを続けているからだ。
 メカニズムをひとたび理解すれば、それを変えることができる。問題の理解なしに変革はあり得ない」というものです。「オフショアの銀行という不平等の上に反映している企業があることを忘れてはならない。」ということとあわせて、グローバル経済の世界で、いずれ租税回避の問題と正面から向き合うことになるのは時間の問題ではないでしょうか。その時に備えて、この分野の情報は押さえておきたいと思います。


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